南伝仏教のDhamma book

長年、当ブログにおいて逐次公開しましたテーラワーダ系仏教書翻訳文は、<菩提樹文庫>にてPDF版として、正式に公開されています。<菩提樹文庫>WEBをご閲覧下さい。尚、修行については必ず経験豊富な正師について下さるようお願いします。

★『教海覚舟』〈教えの海悟りの舟〉(43-3)(私家版)

【戒を守って死んだ比丘】       昔、インドの大道叢林(Mahāvattani)の中に、一群の強盗がいた。彼らは、一人の長老比丘を捕まえて、藤の蔓で縛った。。。    強盗達は、彼らが森林の中に住んでいるのを他人に知られたくなかったので、長老を解放しなかった。。。。。            長老は、本来なら藤蔓を切って逃げる事が出来たが、藤蔓を切るのは罪(巴吉帝亜)になる為、長老は敢えて自らを救う事をしなかった。長老は強盗によって藤蔓で縛られたまま土の上に横たわり、生きる事を諦め、7日間観禅を修して、不還果を証し、死後、梵天に生まれた。。。。          ランカ島(スリランカ)に、同じく羅勒蔓(ローレイマン〜注1)に捕まった長老がいた。この時、突然、森林火災が起きた。彼は本来なら縄を断ち切って逃げる事が出来たが、生きるより戒を守る事の方が重要であると省思して、その様にはしなかった。長老は禅の修行に入り、烈火燃え盛る中で亡くなった。死ぬ時、すでに阿羅漢であった。その後、500人の比丘を連れた長部誦者無畏長老(Thero Dīghabhānaka Abhaya)が発見して、かつ、本人であると認定し、火葬して後、塔を建て、その舎利を供養した。。。