Sayalay's Dhamma book

長年、当ブログにおいて逐次公開しましたテーラワーダ系仏教書翻訳文は、<菩提樹文庫>にてPDF版として、正式に公開されています。<菩提樹文庫>WEBをご閲覧下さい。

「四煩悩を断つ」(「断除四煩悩」翻訳文)―28

慙愧の心は菩提心ーー

皆さん、以下の二つの言葉を、覚えておいて頂きたい。

「毎日反省します。自分は、他人に対して、理不尽な事を

していないかどうか。自分が他人に何かされても、それは

忘れます」。これが、一つ目。

二つ目は「毎日、己が果たすべき責任を、きちんとは果た

しているかどうか、観照しましょう。他人が出来ているか

どうかは関係なく、ただ己のみ反省し、他人を責めては

ならない」。

一人の、慙愧の心を持つ人間は、自分が他人に何か迷惑を

かけていないかどうかを心配するものであって、一日中、

他人の欠点を探すような事はしないし、また他人に

「俺様にどうしてそのような事をするんだ!」などと

言って、怒ったりはしない。

慙愧の心とは非常に重要な心性であり、慙愧心があって

初めて「一日三省」することができる。

「一日三省」してこそ、自己を振り返り、真に反省する

事が出来る。

慙愧の心とは、すなわち菩提心である。

華厳経>の中で、慙愧の心のある人間は、悟り(覚醒)

の心を持つ人間である、と書かれている。

慙愧の心のない人間は、覚醒する事がない。

所謂慙愧とは、己の行為に責任を持ち、他人を恨むことの

ない人間をいう。

己が、己の良心に愧じる事がないと知った時、他人から何を

言われようが、動揺する事はない。(つづく)

          (台湾高雄文殊講堂 慧律法師著

           翻訳文責 Pañña-adhika sayalay)