Sayalay's Dhamma book

長年、当ブログにおいて逐次公開しましたテーラワーダ系仏教書翻訳文は、<菩提樹文庫>にてPDF版として、正式に公開されています。<菩提樹文庫>WEBをご閲覧下さい。

般若の独り言~ミャンマーのクーデター

緬甸(ミャンマー)で、軍がクーデターを起し、アウンサン・スー・チーさんが拘束されました。

私は政治音痴で、政治関連の意見を述べると、

トンチンカンな事を言うので、発言はなるべく控えているのですが・・・

私の知人である在日緬甸人の話では

「軍部は、国が民主化すると、これまで築いた利権を放棄しなければならず、それが嫌で、クーデターを起した」

と言います。その通りでしょう。

気になるのは、僧侶、尼僧の方々の行動です。

通常、お寺にいて、修行に勤しむ僧侶、尼僧の方々は、世俗の生活、政治とは一線を画していますが、自分の国の行方を、心配しない人はいないでしょう。

20年前、私が修行で、緬甸の東部地域(モーラミャイン)に滞在した時、ある高僧が、よくヤンゴンの軍部の指導者に呼ばれたそうです

「俺にあいさつに来い」

という事でしょうか?

でも、この僧は、決してヤンゴンに行く事はなかったそうです、アメリカに説法に行く事はあっても。

僧侶方が、ある人の行いに抗議をする時は、その人のお布施、供養を受けない、のです。

早朝に、ずらっと並んだ施主、供養者の前を歩いて、食べ物や日用品など、色々なお布施を頂いた僧侶は、指弾されるべき行為をした(悪い)人の前に来ると、托鉢用の鉢の蓋を閉めてしまいます

「あなたの供養は受けません」

と、悪い人からのお布施を拒絶します。

僧侶に供養を断られる、用意したお布施を納めてもらえない、という事は、緬甸やタイの様な仏教国(注1)(注2)では、在家信徒の最大の屈辱になるそうです。

軍によって、電波が遮断されて、情報の交流が出来なくても、万単位の学生たちのデモが続いています。

今回の騒動で誰一人も傷つきません様に、

一日も早く、民主的体制に戻ります様に。

(注1)緬甸やタイは敬虔な仏教国ですが、仏教が国教になる事はありません。仏教は、ゴータマ仏陀の遺言で、《国教にしてはいけない》事になっています。国教にすると、僧侶の権力が肥大して、サンガは確実に腐敗しますから。

(注2)緬甸、タイ等の原始仏教テーラワーダ)信奉国では、出家の僧侶は、誰よりも、王様よりも偉い、のです。俗世を生きる王様は、出家の僧侶(高僧)に跪いて、三拝しなければなりません(正しくは、仏・法・僧(=サンガ)に三拝)。

私自身は、バンコクから森林僧院への送迎等に、タイの軍人さんには、大変お世話になりました。緬甸の軍部が、当代唯一の高僧をヤンゴンに呼びつけるのは、本末転倒なのでしょう。

 <緬甸パオ森林僧院/ヤンゴン分院所属/Pañña-adhika Sayalay般若精舎>