般若精舎には、パーリ経典も大乗経典も全巻置いていませんので、出所は示せませんが、以下、記憶を頼りに書いてみます。。。 先日、WEBに、ある大乗の僧侶が、市川猿之助さんの一家心中事件について、以下の様に述べていました。。。 「仏典に、お釈迦さまに何もお布施するものがない兎がそれを恥じて、【自分の肉を食べて欲しい】とばかりに、燃え盛る焚火の中に身を投じた、という話があります。仏教は自殺を肯定しています。云々」…… イヤイヤイヤ……これは、当時のインド人の価値観に基づいて、聖者にお布施するなら、これくらいの覚悟でもってやりなさい! という寓話であって、自殺擁護の話では、ありません。。。 ゴータマ仏陀は、自殺を禁じています。。。パーリ経典では、聖者阿羅漢が、〘もう思い残すことはないから……〙と仏陀に許可を貰って後、自死する話が載っていますが、聖者阿羅漢に限る……であります。この場合、自死希望者が、完璧な阿羅漢である証拠を提示することを、仏陀は要求しています(注1)。。。。。。 仏陀の制定した、5戒の内の一項は《不殺生》です。怒りの刃、悲嘆の刃は、他人にも、自分にも、向けてはならない、のです。。。。。。 件の経典、【うさぎの焼身自殺】を現代社会に翻案するならば、《貧しくて何ら金品でのお布施が出来ない人は、身体を使ったお布施ーー和顔愛語、小さな親切、ボランティアなどに汗を流せばよい》、と解釈するべきです。。。。。 仏教は、怒りや憂い、悲嘆から解放される為の修行、方法論満載です。。。 怒りや恐れ、悲嘆に任せて命を断つのは、仏の教えとは全くもって、無関係です。 注1=完璧な阿羅漢は滅尽定が出来て、涅槃への行き方も知っているため、正確には自死ではなく、涅槃へ趣く、となります。PaññādhikaSayalay(般若精舎)。。。 緬甸パオ森林僧院所属/ ヤンゴン分院にて終身出家