Sayalay's Dhamma book

長年、当ブログにおいて逐次公開しましたテーラワーダ系仏教書翻訳文は、<菩提樹文庫>にてPDF版として、正式に公開されています。<菩提樹文庫>WEBをご閲覧下さい。

翻訳『親知実見』#31-20

無色界地(arūpāvacarabhūmi)において、有分心は、わずか二種類の業相を所縁としており、上記と同じく、業または趣相ではありえない。

空無辺処の衆生の有分心は、無辺の虚空を所縁としており、無所有処の衆生は、空無辺処禅心の不存在を所縁としているーーこの二者は共に概念法である。

識無辺処の衆生の有分心は、空無辺処禅心を所縁としており、非想非非想処の衆生は、無所有処禅心を所縁としているーー(これらの所縁は)心であるが故に、これらの業相は究極法(paramattha dhammā)に属する。

我々が「欲界地」、「色界地」と「無色界地」という時、それは存在の界、生存の地を指しているのであり、しかし、「出世間地」という時、ここでいう「地」は、一種の比喩であり、実際には、それは根本的に、何か一つの場所、地方ではありえない。

我々が「出世間地」という時、その意味は、四道、四果と涅槃のことをのみ指すのであって、一個の場所ではない。

故に、出世間地には、有分心は存在しない。

四道心と四果心の中には、有分心はなく、涅槃の中には、如何なる名色法(ñāmarūpa)もない。

その為、有分心によって維持・繋縛される名色もない。

この事はすなわち、涅槃の中においては、如何なる有分心も存在し得ないという事を意味する。

<翻訳文責:緬甸パオ森林僧院/ヤンゴン分院所属/Pañña-adhika Sayalay般若精舎>