Sayalay's Dhamma book

長年、当ブログにおいて逐次公開しましたテーラワーダ系仏教書翻訳文は、<菩提樹文庫>にてPDF版として、正式に公開されています。<菩提樹文庫>WEBをご閲覧下さい。

翻訳『親知実見』#39-3

故に、禅定によって、観智は明晰、明瞭、強くて力のあるものになり、非常に良質な保護を得ることにもなる(事が分かる)。そして、観智は、ひるがえって、禅定の障礙になる煩悩を打ち壊すことができ、定力をして、安定せしめることができる。

止が観を保護し、その反対もしかり、である。

これより他に、八定の作用は、名色法及びその因を識別する援助となるだけでなはない、というのも、八定自身が、名法に属しており、識別される名法の中に含まれるのである<注291>。

例えば:禅修行者が、初禅に入り、出定の後に、当該の禅相と相応する所の諸行(saṅkhāra)を、無常・苦・無我として、思惟する。その後に、第二禅に入り、同様に実践する。

彼は、この様にして、第四無色禅までの、八定すべてを思惟するのであるが、これを止観双運(yuganaddha)と言い、ちょうど、二頭の雄牛が、一輌の車を引くが如くに、彼を引っ張って、道、果と涅槃に向かわせることができる。<注292>。

もし、禅修行者が、観の修習において、すでに行捨智(saṅkhārupekkhā-ñāṇa)に到達しているのであれば、彼は、ジャーナの諸行への識別を、有る一種類のジャーナに限定することができる。

この様に、強くて力のある止が、強くて力のある観と結合するならば、禅修行者は、道果だけでなく、阿羅漢をも、証悟することができる。

<翻訳文責:緬甸パオ森林僧院/ヤンゴン分院所属/Pañña-adhika Sayalay般若精舎>