★『教海覚舟』<教えの海悟りの舟>(7-14)(私家版)
我々の菩薩は、かつて、名を梵授(Brahmadatta)と言う国王であり、バーラーナシー(Bārānasī)を統治していた。
彼は、パーチェカ仏から法を学び、それ以降、感官の欲楽を追い求める事から遠く離れ、部屋で座禅する事に専念した。
その時、愉悦が湧き上がり、以下の様な偈頌を述べた:
”Dhiratthu subahū kāme、
duggandhe bahukaṇṭake;
Ye ahaṃ paṭisevanto、
nālabhiṃ tādisaṃ sukhaṃ.”(注2)
”(かくの如くの)多くの愛欲は、実に厭うべき!
(それらは)悪臭を放ち、また、棘多し。
私がこれらの愛欲を追求していた時、
この様な(禅悦)の快楽を享受した事がない。”
人間の社会において、国王は、最高の感官の欲楽を擁している。
しかし、これら欲楽を享受した事のある国王もまた、出家の楽の殊勝さを讃えるーー
この事は、出家の楽が最も崇高な快楽である事を意味している。
(注2)《小部・水本生》より。
(7-15につづく)
<願以此法布施功徳、早日証得涅槃楽>