南伝仏教のDhamma book

長年、当ブログにおいて逐次公開しましたテーラワーダ系仏教書翻訳文は、<菩提樹文庫>にてPDF版として、正式に公開されています。<菩提樹文庫>WEBをご閲覧下さい。尚、修行については必ず経験豊富な正師について下さるようお願いします。

翻訳(中→日)《実用アビダンマ》(4-18)(私家版)

ひとたび、目標に標しをした後、(意識を)変えるのは大変に困難である。

鹿が、以前、人が他の動物を虐めるのを見たことがあると、その後に人を見るたびに、即刻逃げる様になる。

農民は、鹿が田んぼに入って、稲を食べるのを防ぐために、案山子を作って田んぼに立てる。

鹿は、案山子を見るや否や、想がまた生起して、それを人間であると見做して、瞬く間に逃げてしまう。

彼の、以前の想は、すでに人をば、一個の頭、二本の手、二本の足として、標記している。

案山子は、人間ではないけれども、鹿は人間であると思いなす。

これが顛倒想である。

同様に、一切の六塵が、六根を衝撃する事によって生じる受を、常、楽、我、浄として、標記するならば、次の段階において、無常・苦・無我を観ずるのは、非常に難しい事となってしまう。

故に、行法の無常・苦・無我を観ずる(為の修行という)のは、顛倒想を正すために、実践するのである。

(4-19につづく)

<願以此法布施功徳、早日証得涅槃楽>