南伝仏教のDhamma book

長年、当ブログにおいて逐次公開しましたテーラワーダ系仏教書翻訳文は、<菩提樹文庫>にてPDF版として、正式に公開されています。<菩提樹文庫>WEBをご閲覧下さい。尚、修行については必ず経験豊富な正師について下さるようお願いします。

『智慧の光』(7-1/2/3)<K氏依頼分>

(原稿P16)     …………………………………………  限界突破………………………………       その後、あなたは更に進んで、限界突破(sãmã sambhedaママ)の修習を実践しなければならない。sãmãは限界、sambhedaは突破。限界とは何か?ある人に慈愛を散布する事は出来ても、もう一人の別の人には出来ない、これは限界が存在している為である。心境を平静にして、区別、差別のない様にまで修行するには、人間関係の限界を突破しなければならない。あなたは四種の人の々に、順序に従って慈愛を散布しなければならない。即ち、己自身、あなたが好ましいと思う人、あなたにとって好感も不快感もない人、あなたが嫌っている人、である。再度明言するが、己自身に慈愛を散布する実践では、ジャーナを証得する事は出来ない。(この修行は)己の体験を通して、他人を慮れる様になる、その様に用いる為のものである。………………………………         先に、以下の様に思惟する:私に仇敵のない様にと願う。私に内心の痛苦にがない様にと願う。私に身体上の痛苦がない様にと願う。私は愉快で、己を大切にし、己自身を尊重する様に願う。“ 三、四回実践し、これを基準として、再度思惟する:“この様に、私に仇敵がない様にと願うならば、他人も又、彼に仇敵のない様にと願う。この様に、私に内心の痛苦がない様にと願うならば、他人も又、彼に内心の痛苦がない様にと願う。“等等。……………………           この様に三、四回思惟して後、四種の方式で以てあなたの好ましい人に、第三禅を証得するまで、慈愛を散布する。その後に、同様の、四種の方式で以て、あなたにとって好感も不快感もない人に、第三禅を証得するまで、慈愛を散布する。唯一、この様に実践した後に初めて、同様の四種の方式で以て、あなたの嫌いな人に、第三禅を証得するまで、慈愛を散布する。……………………………………………………………… 次に、あらためて、己自身、あなたが好ましいと思う人、あなたにとって好感もないが不快感もない人、あなたが嫌いな人に、慈愛を散布する。これらの人々に第三禅を証得する事が出来るまで慈愛を散布する。成功したならば、あなたは、それぞれの種類の人々に対して、再三再四、繰り返し、慈愛を育成しなければならない。この様に修習して、慈心が極めて強くなった時、どの様な現象が起きるであろうか?……………………            慈心はやがて、己自身に対して、あなたが好ましいと思う人に対して、あなたが好感も不快感もない人に対して、あなたが嫌いな人に対して、四者皆平等になり、誰かに対して偏愛する事はなくなるのである。この時、あなたは限界を突破したのだと言える。  ……………………………………………………………                 《清浄道論》において、以下の様な比喩がある:もし、誰かがあなたに、この四者の中から誰か一人を選んで殺す様に言われた場合(その他の三人の命を守る為)、もし、あなたがその中の、誰か一人を選ぶ事ができるならば、あなたの慈心は未だ平等ではない。しかしながら、もしあなたが、一人一人に対して平等であるならば、どの一人をも選び出す事はできないのである。この時あなたはすでに、限界を突破したのであると言える。。   ……………………………………………………★願以此功徳、早日証得涅槃楽!