南伝仏教のDhamma book

長年、当ブログにおいて逐次公開しましたテーラワーダ系仏教書翻訳文は、<菩提樹文庫>にてPDF版として、正式に公開されています。<菩提樹文庫>WEBをご閲覧下さい。尚、修行については必ず経験豊富な正師について下さるようお願いします。

翻訳『禅修指南』10-15

<Idaṃ me puññaṃ nibānassa paccayo hotu>

離心路過程心の識別(vīthi mutta citta)

1、行(34)が生起するが故に、結生識が生起する;

行(34)は因、結生識は果。

2、行(34)が生起するが故に、有分識が生起する;

行(34)は因、有分識は果。

3、行(34)が生起するが故に、死亡識が生起する;

行(34)は因、死亡識は果。

眼門心路過程の果報識

1、行(34)が生起するが故に、眼識が生起する;

行(34)は因、眼識は果。

 2、行(34)が生起するが故に、受領識が生起する;

行(34)は因、受領識は果。

3、行(34)が生起するが故に、推度識が生起する;

行(34)は因、推度識は果。

4、行(34)が生起するが故に、彼所縁識は生起する;

行(34)は因、彼所縁識は果。

《識の縁によりて名色》(Viññāṇapaccayā Nāmarūpaṁ)

(識の生起によって、名色が生起する)

Yāñhi nāmarūpassa hetu viññāṇaṁ, tam vipākāvipāka

bhedato dvidhā  mataṁーー

「果報識(vipāka viññāṇa)と非果報識(avipāka viññāṇa=abhisaṅkhāra viññāṇa行作識)の二者は、皆、名色の因の識とする事ができる。(《清浄道論》第17章)

果報識はまた、俱生識(sahajāta viññāṇa)と呼ばれるが、その意味は、相応する心所と同時に生起する識、である。

結生、有分と死亡は、心路過程の中にはない、果報識ではあるが、五識、受領、推度と彼所縁は、心路過程の一部分に属する、果報識である。

五門転向、確定、速行と意門転向識もまた、俱生識である。

すなわちそれは、相応する心所と、同時に生起する識であるが、しかし、果報識ではない。

果報識と非果報識の識別について、非果報識が行と関連がある為、先に、非果報識の識別方法について、説明する。

註釈(《清浄道論》第17章)の中において、非果報識は、行作識と呼ばれる。

その意味はすなわち、「造作」によって、新しい生(有)が引き起こせる所の識、という訳である。

疏鈔(《大疏鈔》)では、それを業識(kamma viññāṇa)と、呼んでいる。

業識=行作識

過去世において造(ナ)した所の、行と業相応の(善と不善)識は、業識と言う。

また、前文で述べた通り、「行縁識」の中において、行名法グループ(34=因)の一部分に属する所の識は、業識(=行作識)である。

この段階においては、業識(行作識)を主に、識別するべきである。

来世を獲得する為に、今世において造(ナ)された、行と業相応の(善と不善)識もたま、業識(=行作識)である。

現見智(paccakkha ñāṇa、現見=己自身自ら体験する)でもって、今世果報名色(=果報心と心所と業生色、たとえば、結生果報名色)が生起するのは、過去世業識の故である事を、知見した後;

また、未来世の果報名色(=未来世の果報心と心所と業生色、たとえば、結生名色)の生起は、今世業識の故である事を、知見した後、禅修行者は、因と果を識別する事ができる。

しかしながら、この段階においては、禅修行者は現見智でもって、先に以下の事を、識別する:

今世の果報名色の生起は、過去世の業識の故であること。

名色

上に述べた通り、業識のみが、因に属する「識」である。

果に属する所の名色、「名」は、心所を含むだけではなく、相応の識も含む。

業生色だけが、直接的な「色」であると言える。

しかしながら、観禅の段階において、禅修行者は業生色、及びそれと混在して生起する所の、心生、時節生と食生色を観照する事ができる。

因果を連貫する時、それはすなわち、業生色を連貫させるのである。

次に、識別方法の幾つかの例を挙げる。

離心路過程心

1、過去業識が生起するた故に、結生名色は生起する。

過去業識は因、結生名色は果。

2、過去業識が生起するが故に、有分名色は生起する;

過去業識は因、有分名色は果。

3、過去業識が生起するが故に、死亡名色が生起する;

過去業識は因、死亡名色は果。

 眼門心路過程の果報名色

1、過去業識が生起するた故に、眼識名色は生起する。

過去業識は因、眼識名色は果。

2、過去業識が生起するが故に、受領名色は生起する;

過去業識は因、受領名色は果。

3、過去業識が生起するが故に、推度名色が生起する;

過去業識は因、推度名色は果。

4、過去業識が生起するが故に、彼所縁名色は生起する;

過去業識は因、彼所縁名色は果。

註:同等の方法を用いて、耳識、受領、推度、彼所縁などの果報識名色の生起を識別する。観禅の修習の時、転向、確定、速行を識別しても問題はない。

因果を識別している時には、禅修行者は、過去業識と、果報名色を連貫させなければならない。

六グループすべてを識別する。

一つひとつのグループの、心路過程の中の、すべての果報名色を識別する。

(10-16につづく)

<Mama puññabhāgaṃ sabbasattānaṃ bhājemi>

(+ )(= )訳者。句読点等原文ママ。★誤字脱字を発見された方は<菩提樹文庫>までお知らせ下さい。http://bodaijubunko.sakura.ne.jp/index.html

<本雅難陀尊者(Ven. U Puññānanda)著 『禅修指南』Meditation Guide 第二版  中国語→日本語 翻訳文責 Pañña-adhika Sayalay>