問4-8:中陰身(antarabhava)とは何ですか?
答4-8:上座部仏教の三蔵に基づくと、所謂、中陰身というものは、ない。
死亡心(cuti-citta)及び、それに緊密に続く所の、結生心(paṭisndhi-citta)の間には、如何なる心識刹那または、所謂中陰の類の状態<注257>は、存在しない。
もし、一人の人間が、天界に生まれ変わったならば、彼の死亡心と天界結生心の間には、如何なる心識刹那、または、所謂、中陰身も、存在しない。
死亡が発生するやいなや、天界結生心は、即刻、生起する。
同様に、もし、一人の人間が、死後、地獄に生まれ変わるとして、彼の死亡心と、地獄結生心の間には、所謂、中陰の類のものは、存在しない。
彼は死後、直接、地獄に堕ちるのである。
中陰身の概念は、通常、この様にして、生じる:
ある種の人々は、死後、短い間、暫定的に、鬼界(幽霊界)に生まれ変わり、その後に、また人間に生まれ変わる(事がある)。
彼は、その鬼(幽霊)の生命を、所謂、中陰身だと思う。
実際は、それは、中陰身とは、まったく関係がない。
実際に発生している状況は以下の通りである:
人間の死亡心が滅し去った後、鬼の結生心が、それに続いて生起する;
鬼の死亡心が滅し去った後、引き続き、人類としての、結生心が生起する。
この人は、彼の不善業によって、鬼界において苦を受けたが、しかし、不善業の業力は非常に速くに、消耗し尽くしたため、かつ、善業が熟したことが因となって、再度、人類の結生心が生起した。
そして、輪廻の真相を、己自身から見たことがない人、または縁起を知らない人は、あの鬼界にいた短い生命をもって、中陰身であると、誤解するのである。
もし、彼が観智でもって、縁起を識別することができるならば、この様な邪信は、消失するであろう。
この様なことから、我々は、あなたが、己自身の観智でもって、縁起を識別する様、提案する。
この様にすれば、中陰身の問題は、あなたの心中から消失するであろう。