Sayalay's Dhamma book

長年、当ブログにおいて逐次公開しましたテーラワーダ系仏教書翻訳文は、<菩提樹文庫>にてPDF版として、正式に公開されています。<菩提樹文庫>WEBをご閲覧下さい。

般若の独り言~「一切」について

『親知実見』を翻訳していまして、中国語原文p246の

<注247>に、

【ゴータマ仏陀が教えた「一切」とは、一体何であるか?】に関する、パオ・セヤドーの説明が出てきます。

(『親知実見』<#36-3><注247>日本語訳参照の事。)

私、「おお、これこれ」 と思いました。

と言いますのも、子供の時に経典を読んでいまして、この

「一切」が何か分からなくて、恐怖を覚えた記憶があるからです。

仏教経典の中の有名な言葉:

諸行無常諸法無我一切皆苦涅槃寂静

この「諸行」というのも、「無我」というのも、何の事か、分からない・・・、

でもまぁ、それは、横においておくとして、

一切皆苦

って何だろうか?

世界全体が苦しんでいる?

そんなはずはない・・・最近、婚約した隣家のお姉さんは幸せそうだし・・・春先に萌え出す木々が、「苦しい」って思っているはずも無くて・・・

一切が苦しいって、そんなの有り得る?

小さい頭で考えても、結論が出る訳も無し。

アビダンマを読む様になって、ようやく分かる様になりました。

一切皆苦=五取蘊苦=

五蘊(色蘊、受蘊、想蘊、行蘊、識蘊)に執着する事は苦である

ただ、本当に、心の底から、それを悟るのは、まだまだ修行が足りない(喝!)。

注=長くアーナーパーナサティ(入出息念・安般念)を実践していますと、[起心動念が苦]である事は分かってきますが、しかし、16観智(vipassanā)の修習が始まるまでは、苦への理解、体験は、どうしても表面的、浅薄なものに、なります。

今流行りの、アンガーマネジメント、マインドフルネス等も、本質的には、安般念に始まり、安般念に終わる、と思っています。 

<緬甸パオ森林僧院/ヤンゴン分院所属/Pañña-adhika Sayalay般若精舎>