壊滅随観の法
名色法の因縁生(udaya)と刹那生を見た後、今、あなたは、ひらすら、それらの壊滅(vaya)をみることのみが要求される。
これは、壊滅随観の法(vayadhammānupassī)である。
無明、愛、取、行と業力<注372>の滅は、阿羅漢を証悟する時に発生し、五蘊の寂滅は、般涅槃の時に発生する。
あなたは、異なる種類の無明、愛、取、行と業力の因縁生が、一つひとつの異なる生命の期間においては発生するのを識別するが、しかし、寂滅は、唯一、同一の生命の期間に発生する。
すなわち、五蘊は、般涅槃の時、二度と生起することはない。
しかし、我々は、真実の涅槃とは何か、阿羅漢道とは何かを、はっきりと知ることはない。というのも、未だ、四道智(magga-ñāṇa)を証悟していないが故に。
その為、ただ、諸蘊が二度と生起することがないことを通して、般涅槃の発生を理解するより外ないのである。
例えば、あなたは、再度、縁起第五法に基づいて、色法の因縁滅(nirodha)<注373>を観照する時、すなわち、あなた後ろに向かって、阿羅漢になるまでを観照し、かつあなたが阿羅漢道(Arahatta-magga)と阿羅漢果(Arahatta-phala)を証悟するのを見た時、すべての煩悩は無余に滅尽し、かつ、その一生が終了する時には、すべての行法もまた止息する:
これは、直接、あなたの般涅槃が見えたということであり、その後、二度と、新しい名色法が生起したり、滅したりすることはない。
もし、あなたが、今生において、阿羅漢を証悟するのであるならば、このことは未来に属する;
もし、あなたが、未来のどれかの一世において、阿羅漢を証悟するのであれば、これもまた未来に属する。
あなたは、逐一、それぞれ個別に、
(1)無明、(2)愛、(3)取、(4)行と(5)業の滅尽(nirodha)、及びそれらによってなされる所の、業生色法の滅尽を見なければならない。
この種の方法を用いて、業生色法の因縁滅を見た後、今は、唯一、それの刹那滅を照見する。
その後、あなたは、すでに識別したことのある、一つひとつの過去生と、未来世の中<注374>の結生と死亡との間の、すでに識別したことのある心路の中の一つひとつの心識刹那の業生色法の刹那滅を観照しなければならない。
その意味するものは、すなわち、あなたは、再度、離心路心(vīthimutacitta)の壊滅(vaya)の時の五蘊、及びあなたがすでに識別した所のその間に生起した所のすべての六門心路(vīthi)の中の一つひとつの心識刹那が壊滅する時の五蘊<注375>を観照しなければならない、ということである。
次に、あなたは、順序に従って、心生色、時節生色と食生色の因縁滅を観照しなければならない。
あなたは、以下の事を観照しなければならない:
心の滅は、如何にして心生色の滅を引き起こすか
時節の滅は、如何にして時節生色の滅を引き起こすか
食の滅は、如何にして食生色の滅を引き起こすか
一つひとつの種類毎の情況の下、一つひとつの種類の色法の刹那滅を観照しなければならない。
完成した後、あなたは、なお、名法の因縁滅と刹那滅を観照しなければならない。