翻訳(中→日)<実用アビダンマ>(41ー13)(私家版)
一つ例をあげる:ある一人の少女が、毎朝起きるとすぐに鏡の前に立って、自分の美しさを確認しないではいられなかった。。彼女が最初に生起させるのは、眼門心路過程である。眼門心路過程の中には7個の速行心がある。彼女が己の美しさを確認する時「悦具邪見相応無行一心」が生起するが、この心は7回発生する。。。 その後、非常に多くの意門心路過程が生起する。意門心路過程の中の7個の速行心は、先程の貪根心と同じで「悦具邪見相応無行一心」である。。。。 彼女には仏教の知識がある為、心に思う:「いけない!己の美貌に耽溺するのは貪根心だわ。この美貌も、元はと言えば過去の善業の果報だし……」 もし、美しくありたいと思うのであるならば、瞋根心は避けなければならない。人があなたを侮っても、あなたは笑っているのがよい。。。 少女は、己の美貌は、過去の業によることを知っていたので、この時、業報智の智慧が生起した。。。。 意門心路過程の7個の速行心は、捨具である可能性もあり、また悦具の可能性もあるが、しかし必ず「智相応無行一心」である。故に、「悦具智相応無行一心」が彼女の意門心路過程の中の7個の速行心において生起した。。。 その後、彼女はまた思う:「この美貌もまた無常だわ。何日か後、何か月か後、何年か後、きっと変わってしまうわ」 彼女はこの様に思うと、心の中で「悦具智相応無行一心」の善心が生起した。。。 彼女は、己のこの美貌をば、無常、無常………であると観じた。もし、無常を観じないのであるならば、己の美貌を執取(執着)してしまう。一人の人間が、美貌に執着すると、鏡の中に自分の顔が老けて突然、老人斑ができたのを発見すると、意門心路過程の中の速行心は「憂具瞋恚相応無行一心」を生起せしめる。。。 もし、正念が無い時、不善心が生起し続けるのである。