Sayalay's Dhamma book

長年、当ブログにおいて逐次公開しましたテーラワーダ系仏教書翻訳文は、<菩提樹文庫>にてPDF版として、正式に公開されています。<菩提樹文庫>WEBをご閲覧下さい。

翻訳(中→日)<実用アビダンマ>(98ー1/2/3)(私家版)

■ニ根                 1.無明:無明は、過去から現在まで通貫する所の、「受」の根である、と言われる。無明とは、真実の法を如実に見る事がない事を言い、無明と相応する、もう一つ別の根は「愛欲」である。。。。。。                2.愛欲:愛は現在から未来の「老・死」にまで通貫する根と呼ばれる。。。     輪廻の根本は、無明と愛欲が原因であるが、この2根を断ち切る事によって、輪廻は断滅する事ができる。老いと死に追い立てられる事の多い人は、諸々の漏が生起すると、無明が回転し始める。そうであるから、大賢者は、三地結縛及び無始の輪廻を「縁起」と呼ぶ。。。          我々が阿羅漢道果を証する時、輪廻を断じる事ができる。阿羅漢道果は、どの様にして証するのであるか?八正道(戒、定、慧)を修行しなければならない。阿羅漢道果を証したならば、無明は滅する。無明が滅したならば行滅する。行滅したならば、識滅する。識滅したならば、名色滅する。名色滅したならば、6処滅する。6処滅したならび、触滅する。触滅したならば、受滅する。受滅したならば、愛滅する。愛滅したならば、取滅する。取滅したならば、有が滅する。有が滅したならば、再び、生まれる事はない。再び生まれる事がないならば、老い、死亡、愁、悲、苦、憂、悩はない。この様にして、一切の苦痛は、止息する。                12縁起は、「無明縁行」から始まるが、しかし、無明が最初の因という事ではない。仏教において、第一因というのは存在しない。仏陀は言う:「無始の輪廻の中において、衆生は無明に覆われ、愛欲に縛られ、長く輪廻の中で旋回している。」   仏陀は12因縁を解説するが、しかし、最も重要なのは、仏陀は、苦は如何にして生起するかと言う問題と、苦を如何にして止息するかと言う問題を説いたに過ぎない(事を知るべきである。)。ここにはどの様な衆生もいないし、人もいないし、創造者もいない。仏陀の言う「無明縁行、行縁識」は、誰が一人の創造者が識を創造した訳でもなく、生命を創造した訳でもなく、全ては無明によるものである事を証明しているのである。無明は、一個の心所に過ぎない。行もまた、各種各様の心である。善心、不善心などなどを言うのも、輪廻の過程全体には、一人の人間がいる訳ではない、のである。。。             苦は存在しているが、苦を受け取る者(受苦者)は、いないのである。