南伝仏教のDhamma book

長年、当ブログにおいて逐次公開しましたテーラワーダ系仏教書翻訳文は、<菩提樹文庫>にてPDF版として、正式に公開されています。<菩提樹文庫>WEBをご閲覧下さい。尚、修行については必ず経験豊富な正師について下さるようお願いします。

大愚和尚を読む(その5ー涅槃)

大愚和尚は著書「ひとりの『さみしさ』とうまくやる本」の中で【睡眠と涅槃は同じものだ】と言います(P124)。。。。。            和尚さん、残念ながら睡眠と涅槃は全く異なるものです。睡眠は有為法、涅槃は無為法で、その内実は、180度異なります。。。。。。。。。。。。。          私達有情の心の作用は、心路過程と離心路過程に分ける事ができます。。。。。。     心路過程とは例えば、何か音を聞いた時に「あっ、あれは何の音だろう」「ああ、小鳥の囀りだ」と認識、判断する様なものです。。。。。。。。             離心路過程は、西洋心理学で言う所の無意識の事で、仏教ではこの種の心を有分心と言います。。。。。。。               その心の対象、即ち所縁は、前世の臨終の時に、臨終速行心が対象として取った所の、業、業相、趣相の内の一つです。。。。。。。。。。。。           寝ている時の心の対象は、夢(心路過程)か、又は上記の三種、業、業相、趣相の内の一つ(離心路過程)になります。。。。。。。。。              睡眠中の心は常に(起きている時と同じ様に)、縁によって対象を取っている為、心底安らいでいる訳ではありません。。。。。。。。               心が心底安らぐのは、心の対象が涅槃である時です。。。。。             涅槃は無為法で、縁によって生じていないので、心は、100%安らぐ事ができるのてす。。。                 涅槃と睡眠が同じものならば、ゴータマ仏陀が45年の間、ご自分の悟りを伝える為にしたご苦労は、一体何でありましょうか?                 仏陀は「君たち、寝て暮せば、安楽である!」と言ったでしようか?         そんな経典、ありますか?           辛い時は何もかも忘れて眠るのは、心身の回復には有効ですが、睡眠と涅槃は、全く異なるものです。。。。              心路過程と離心路過程、有分心、有分流、臨終速行心の所縁等々………良き仏教者でありたいならば、これら(アビダンマ)をよく学ぶ必要があります。            追加:涅槃体験は非常に難しく、凡夫が軽々と出来るものではありません。凡夫が心身を休めたいなら、禅定に入るのが良いです。凡夫が獲得できる良き安らぎは禅定にあり、睡眠はそれよりも質の劣る安らぎになります。不眠症で悩んでいる人は、無理に眠ろうとせず、安般念から禅定に入る訓練をして下さい。寝るより禅定に入る方が、心身が安らぐ事を体感できます。。。。                尚、涅槃には、有余涅槃と無余涅槃があり、二者は微妙に異なりますが、ここで言うのは有余涅槃の事です。。。。        Paññādhika Sayalay (般若精舎)