南伝仏教のDhamma book

長年、当ブログにおいて逐次公開しましたテーラワーダ系仏教書翻訳文は、<菩提樹文庫>にてPDF版として、正式に公開されています。<菩提樹文庫>WEBをご閲覧下さい。尚、修行については必ず経験豊富な正師について下さるようお願いします。

2017-01-01から1ヶ月間の記事一覧

是誰庵のひとやすみ~翻訳の経過報告、今後の予定

皆様にご愛読いただきました「南伝仏教キホンのキ」は、後一週間ほどで翻訳が終了します。 <菩提樹文庫>に転載の予定はありませんので、引き続き、当ブログにてご講読下さい。 なお、「南伝仏教キホンのキ」翻訳終了後、パオ・セヤドー「顕正法蔵」の継続…

「南伝仏教キホンのキ」(翻訳文)5-9

身体的な姿勢、動作(+の修行)については、上に述べたとおりであるが、感受、心の念(=思い)に関しても、同じである。 あなたが嬉しさを感じる時、あなたは、今、嬉しい心が生起したことを、はっきりと知っているだろうか? あなたが不快な思いをする時…

「南伝仏教キホンのキ」(翻訳文)5-8

正念正知を育成するには、特定の時間、特定の場所、特定の姿勢を設定しなくとも、日常生活の中の時々刻々のうちに、正念を生起しさえすれば、この種の練習ができる: 正知でもって、何かの事柄に取り組む。 すべての事柄に対して、ただ、正知を保持すればよ…

「南伝仏教キホンのキ」(翻訳文)5-7

パーリ蔵経の中で、非常に重要な経文、名を《大念処経》というのがあるが、この経文の中で、仏陀は、以下のように指導している: ”比丘たちよ。 比丘は歩いている時、「私は歩いている」と知る。 立っている時、「私は立っている」と知る。 座っている時、「…

「南伝仏教キホンのキ」(翻訳文)5-6

第三節 正念正知 仏教の中で、もう一つ、非常に重要で、非常に実用的な修行方法ーー正念正知を保つ事ーーがある。 正念ーー心をして、堅固に、専注の目標に沈入せしめ、不散乱、不浮動である事。 正知ーー今己がなしている事柄について、時々刻々、明確な覚…

「南伝仏教キホンのキ」(翻訳文)5-5

第二節 慈愛の散布 次に、みなさんに、慈愛を散布する方法を説明する。 慈愛を散布する、とはどういう事か? それは、他人を祝福し、他人の幸福、歓びを祈願する事である。 慈愛を散布する時、目を閉じて、まず先に己自身を祝福し、己自身の歓び、己自身の幸…

「南伝仏教キホンのキ」(翻訳文)5-4

このような方法で、呼吸に専注することを、15分、20分、乃至半時間、持続することができて、心も静かになり、妄想も少なくなったならば、息を数えるのはやめて、ただ心を、鼻の先、人中と呼ばれる、そのあたり一帯に安住させて、息を覚知しつづければ、それ…

「南伝仏教キホンのキ」(翻訳文)5-3

息を数える過程において、心が漂ってしまい、妄想によって(+数息が)中断したことを発見したならば、もう一度最初からやり直すべきである。 たとえば、6まで数えた所で、心が漂ってしまったならば、これより先は、数を数えるのは止めて、もう一度最初から…

「南伝仏教キホンのキ」(翻訳文)5-2

呼吸を覚知する過程において、もし、妄想が多いという事を発見し、かつ、心が平静にならないならば、息を数える方法によって(+心の乱れを)克服することを提案する。 息を数える方法は:息を吸う時、息が入る、と知り、息を吐くとき、息が出る、と知る。そ…

「南伝仏教キホンのキ」(翻訳文)5-1

第五章 調心法について 第一節 入出息念 ここでは、みなさんに、我々の心が特定の目標に専注する事を通して、心の平静と智慧を育成する、三種類の、実践しやすい修行方法を紹介する。 第一番目の方法は、入出息念と言い、呼吸に専注することによって、定力を…

「南伝仏教キホンのキ」(翻訳文)4-14★

ある種の経典の中で、仏陀は在家者に対して、布施と、持戒、禅の修行をするべきだと、強調している部分がある:また、信仰を持ち、戒行を完成させ、善きを楽しみ、布施を好み、智慧を育成するようにと、常に教えを説いてもいる。 この指導(+内容)を見てい…

是誰庵のひとやすみ~心貧しき者

キリスト教の聖書に「心貧しき者は幸いなり」という言葉があります。 この意味が、ずっとよく分かりませんでした。 ある時、アメリカ人が書いたスピ系の本(真面目な仏教系?)を読んでいて、彼はこの部分を「妄想しない心を、『貧しい心』と言う」と解説し…

「南伝仏教キホンのキ」(翻訳文)4-13

このように、持戒を通して、一番最初の、最も粗雑な違犯性煩悩を、断つことができる。 定の修習を通して、困惑性煩悩を取り除くことができ、慧の修習によって、潜在性煩悩を取り除くことができる。 すべての煩悩は、戒・定・慧を育成することを通して、断じ…

「南伝仏教キホンのキ」(翻訳文)4-12

智慧と四聖諦は、お互いに密接に、相関し合っている。 経典の中で、四聖諦を如実に知ることを智慧と称しており、また、智慧が知る対象が、四聖諦である、と言う。 智慧を通して名色法を知る事は、苦聖諦である。 名色法の因を知る事は、集聖諦である。 名色…

「南伝仏教キホンのキ」(翻訳文)4-11

名色と、名色の因を知った後に、それらは、皆、無常・苦・無我であることを、観照しなければならない。 心身を含む、世間のあらゆる現象は、永久でも恒常でもなく、すべては刹那刹那に生滅、変化していて、これを ”無常” と言う。 万物は、すべて、生滅の憂…

是誰庵のひとやすみ~明王朝の仏像

早朝、インターネット上のニュースを見ていましたら、中国の江西省南城という所で、貯水池の水を抜いたところ、壁面に彫られた仏像(の頭部)が現れた、という事です。 写真も載っていました。 一見、仏像というよりお地蔵様かな、と思うほど、まん丸の、可…

「南伝仏教キホンのキ」(翻訳文)4-10

これらの善業または不善業が因と縁が熟する時に至ると、相応の果報が生じる。生命及び生命における異なる境遇は、とりもなおさず、これらの行為の結果である。 (+人は)一たび生命を擁したならば、生命に執着し;心身が色々な外境に接する毎に、また新たな…

「南伝仏教キホンのキ」(翻訳文)4-9

我々は、上記のような方法でもって、名色法がどういう構成になっているのかを、観照しなければならない。 それらは、どのようにして、運行されているのか? どのような状況の下で、善心は生起するのか? どのような状況の下で、不善心は生起するのか? 善心…

「南伝仏教キホンのキ」(翻訳文)4-8

我々は、智慧を通して名色法を観照し、名色法は、目、耳、鼻、舌、身体、意によって構成されているのだという事を、理解しなければならない。 目、耳、鼻、舌、身体は、五根と言い、すなわち、五種類の感官であり、それらは、色身(肉体の身)を構成している…

「南伝仏教キホンのキ」(翻訳文)4-7

第四節 如何にして潜在性煩悩を取り除くのか 潜在性煩悩、心内の煩悩を取り除きたいのであれば、慧を修して、智慧を育成するべきである。 智慧を通してしか、煩悩を根底から取り除くことはできない。 ここでいう智慧とは、頭の回転が速いとか、理解する力が…

是誰庵のひとやすみ~バラ咲きジュリアン

みなさま、おはようございます。 まだまだ寒いですね。でも、日差しは随分明るくなりました。 私は勝手に<3月3日お雛様の日から春!>と決めていて、春が来るのを、指折り数えて待っています(孫に、つるし飾りでも作ってあげよ!) 最近の園芸種は、改良が…

パオ・セヤドー弘法記念「顕正法蔵」(翻訳文)~4-42

7-6 息の全体 次に続く経文は以下の通り: 「彼は次のように訓練する:『私は(息の)全身(=全体)を覚知して息を吸う。』彼は次のように訓練する:『私は(息の)全身(=全体)を覚知して息を吐く。』」 その意味は、彼は以下の様な考え方でもって、己自…

是誰庵のひとやすみ~お片付け

先日、免許更新に行ってきました。 センターまでは遠いので、比較的近い、警察署にしました。 帰りに 100均 に寄って、前に見つけておいた、お気に入りの収納ボックスを買ってきました。 私はここ Y 盆地に引っ越してきてから、タンスや本棚、机は買わず、市…

パオ・セヤドー弘法記念「顕正法蔵」(翻訳文)~4-41

彼は随観(anupassati)・・・:彼は禅智によって、作意を保持し、入息と出息の身(=全体)または禅相について、それを見ることを安定的に持続させ、かつ、観智でもって(作意を保持し、安定的かつ持続的に)色身と名身を見ること。 これが、なぜ「身を身と…

パオ・セヤドー弘法記念「顕正法蔵」(翻訳文)~4-40

しかし、それ(身)は念ではない: 身(=息全体)は、「打ち建てられる」とは言われるが、しかし、それを「念」とは呼ばない。身は念の目標であるが、しかし、それは正念を保持するための作為ではない。 念は打ち建てられる(処)であり、同時に念の両者で…

「南伝仏教キホンのキ」(翻訳文)4-6

経典の中では通常、ある程度の、高度な定力を ”禅定” と呼んでいる。 禅定とはすなわち、心が高度な専注の状態にあることを言う。 人が、もし禅定の境地に到達することができたならば、その心は、極度の喜悦、楽しさ、安寧と殊勝な状態を、非常に長い時間、…

是誰庵のひとやすみ~身苦心不苦

もう 40 年以上前になりますが、台湾で釈従信比丘の 大乗仏教批判の書「阿含正見」に出会って、夢中になって読んだ事があります。 彼に手紙を出した所、自著を次々と、送ってきてくださいました。 その中に「37菩提分」というのがあり、よく「身苦心不苦」と…

「南伝仏教キホンのキ」(翻訳文)4-5

第三節 如何にして困惑性煩悩を取り除くのか (+人が)困惑性煩悩を取り除きたいのであれば、定を修する必要がある。 定とは何か? 定とは、内心の平静、安寧、専一の状態を言う。 定を育成する方法を ”止” と言う。すなわち、煩悩を止めて、心内が平静にな…

是誰庵のひとやすみ~悪夢の終わり方

昨夜、ベッドに入ってから、風邪を引いているのに、気がつきました。 身体がゾクゾクします。正月休暇で帰省していた二男が、風邪気味だと言っていたので、彼から貰ったのかも知れません。 私は一人住まいなので、風邪はちょっと困ります(ほかの病気でも困…

「南伝仏教キホンのキ」(翻訳文)4-4

ある種の人々は、五箇条の戒を守ることの意義を理解できない。 そのため、我々は、”自分の身に引き比べて”五戒を守る必要性を、検討してみたいと思う。 たとえば、生命に対する尊重について、我々は、殺生をしてはいけない、という。 すべての生命を擁する生…