<Idaṃ me puññaṃ nibbānassa paccayo hotu>
大友長老は、農夫洞(Kassakaleṇa)に住んでいた。
彼がたびたび出かけて托鉢する村に、一人の年老いた女性信徒がいて、彼を己の息子のように思いなし、彼を支えた。
ある日、彼女は森へ行く準備をしている時、娘に言った:
「ここにはよい米、牛乳、バターと砂糖がある。あなたは、この米を用いてご飯を炊き、あなたのお兄さん(+のよう)である大友尊者が来たとき、そのご飯、牛乳、バターと砂糖を全部、彼に供養しなさい。あなたもそのご飯を食べてよいです。私はすでに、おかゆと、昨夜の残り物の冷や飯を食べました。」
「お母さん、あなたは、昼食には、何を食べますか?」
「あなたは、砕けた米と野菜で、酸っぱいおかゆを炊いて、それを私に、残しておいて下さい。」
長老が袈裟を着て、洞の入口で鉢の入った袋から鉢を取り出して、まさに托鉢に出かけようとしていた時、天耳通によって、母親と娘との会話が聞こえた。彼は思った:
「あの大施主は、おかゆと昨夜の残り飯を食べ、昼食には酸っぱいおかゆを食べようとし、飯、牛乳、バターと砂糖を私にくれようとしている。彼女は、私から、田畑、食物または衣類を得たいと思っている訳ではなく、ただひたすら、彼女の布施によって、人界、天界及び出世間界の成就を願っている。
私は彼女に、これらの成就を、与えることができるだろうか?
まさにまさに、私は貪欲、怒り、愚かさの含まれた心で、彼女の食べ物を食する訳にはいかない。」
こうして彼は、鉢を鉢の袋へ仕舞い、袈裟の結び目をほどき、托鉢に行くのをやめて、農夫洞に戻った。
彼は鉢を床に置き、袈裟を竿にかけ、座って修行に精進すること決意し、心で想った:
「もし、阿羅漢果を証しないのであれば、私はここから、出て行かない!」
これより前に、長らく修行に精進していた長老は、その時、再度、観智を育成し、いまだ食事の時間が来ない前に、阿羅漢果を証悟した。
この漏尽者は、満開の蓮の花のような微笑を浮かべて洞を出た。
この洞の出口の近くの木に住む護法神が、彼に言った:
あなた様に敬礼しますーー至上の聖なる者、
あなた様に敬礼しますーー人の中の至上の者。
あなた様の汚染はすでに滅尽した、
あなた様は応供者(=供養に値する者、阿羅漢)です。(5-58につづく)
<Mama puññabhāgaṃ sabbasattānaṃ bhājemi>
(+ )(= )訳者。句読点等原文ママ。
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<パオ・セヤドー講述「顕正法蔵」2008年中国語版→日本語訳出
翻訳文責 Pañña-adhika Sayalay>