南伝仏教のDhamma book

長年、当ブログにおいて逐次公開しましたテーラワーダ系仏教書翻訳文は、<菩提樹文庫>にてPDF版として、正式に公開されています。<菩提樹文庫>WEBをご閲覧下さい。尚、修行については必ず経験豊富な正師について下さるようお願いします。

翻訳『親知実見』Knowing and Seeing #33-25

定力を育成する10種類の善き方法

《清浄之道》の復注では、今(この段階において)、10種類の方法によって、定力を育成することができるという<注180>。

あなたは四界を識別しなければならない:

1)順序よく(anupubbato):仏陀の教導した順序ー地、水、火、風。

2)速すぎない(nātisīghato):四界の識別(の速度)が速すぎる時、あなたは、それらを明晰に見ることができない。

3)遅すぎない(nātisaṇikato):四界の識別(の速度)が遅すぎる時、あなたは、修習を完成することができない。

4)散乱を除く(vikkhepapaṭibāhanato):心をして、唯一、禅修行の業処、すなわち、四界の上において維持せしめて、心を散乱させない。

5)概念を超越する(paṇṇattisamatikkamanato):心をして、ただ「地、水、火、風」と念じるに任せてはならず、これらの概念が代表する所の、実施の含意ーー硬さ、粗さ、重さ、柔かさ、軽さ、流動性、粘着性、熱さ、冷たさ、指示性と推進性に注意を払う事。

6)明晰でないものを捨てる(anupaṭṭhāna muñcanato):

ひとたび、12種類の特徴すべてを識別できる様になったならば、あなたは、一時的に、明晰でない特徴を捨てることができる、ただし、この様にすると、諸々の界のバランスを失って、痛みや緊縛感が生じない場合に限る。同時に、四界の一つひとつに対して、あなたは、少なくとも一個の特徴を保留する事。三界のみ、二界のみ、または一界のみを識別するという様な事をしてはならない。勿論、12種類の特徴すべてがみな明晰である時、どの特徴も捨てないのが最も良い。

7)特徴の識別(lakkhaṇato):禅の修行を始めたばかりで、一つひとつの界の特徴がいまだ不鮮明である時、あなたは、各界の作用と現起(現象)<注181>に専注するのもよい。

そして、定力が上昇した時、あなたは、自性相(sbhāvalakkhṇa):地界の硬さと粗さ、水界の流動性と粘着性、火界の熱さと冷たさ及び風界の支持性にのみ専注するべきである。

この段階においては、あなたは、四界のみ見て、もはや「人」とか「自我(これは私である)」等と、見做す事がない。

復注は、更に一歩進んで、以下の三篇の経典に基づいて定力を育成する様にと提案する:

8)《増上心経》(Adhicitta Sutta)

9)《清凉経》(Sītibhāva Sutta)

10)《覚支経》(Bojjhṅga Sutta)<注182>。

仏陀は、この三篇の経典の中において、五根(indriya):信、精進、念、定、慧のバランス、及び七覚支(bojjhaṅga):念、択法、精進、喜、軽安、定と捨のバランスを教導している。これに関しては、我々は、第一講において、説明をした。<注183>。

<翻訳文責: 緬甸パオ森林僧院/ヤンゴン分院所属/Pañña-adhika Sayalay般若精舎>