第五講 如何にして名法を識別するか
はじめに
前の法話において、我々は、如何にして四界差別(四界分別)を修習するか、及び、如何にして「色聚」と呼ばれる微粒子物質を分析するか、について、説明した。
ここでは、我々は、観禅の次の段階ーー如何にして名法を識別する(Nāma kammaṭṭāna)のか、について説明する。<注259>。
先に、我々は、簡単に、心の基本的理論に関する説明をしたい、と思う。というのも、名法を識別する為に、必要な事柄であるが故に。
アビダンマの解釈では、心識は、所縁を識知する所の、
心(citta)及び、心に随伴して生起する所の
心所(cetasika)を含む、と言う。
52種類の心所がある、例えば:
触(phassa)、受(vedanā)、想(saññā)、
思(cetanaā)、一境性(ekaggatā)、
名命根(jīvitindriya)と作意(manasikāra)<注260>。
合計89種類の心がある<注261>。
それらは、善、不善または無記として、三種類に分類することができるが、また、それが存在する界によって分類する事も出来る:
欲界(kāmāvacara)、
色界(rūpavacara)、
無色界(arūpavacara)の三種類<注262>、
または世間(lokiya)と出世間(lokuttarā)の二種類。
我々は、最も基本的な二種類の心について、研究する:
1)心路(cittavīthi)心。
2)心路以外の「離心路(vīthimutta)」心:
結生心、死亡心と有分心。