南伝仏教のDhamma book

長年、当ブログにおいて逐次公開しましたテーラワーダ系仏教書翻訳文は、<菩提樹文庫>にてPDF版として、正式に公開されています。<菩提樹文庫>WEBをご閲覧下さい。尚、修行については必ず経験豊富な正師について下さるようお願いします。

翻訳『親知実見』#45‐16

涅槃を知見する

これらの観智を成就した後、引き続き、一つひとつの行法の壊滅と消失を観照し、かつ、心に、それらから解脱したいという願望を抱きつつ、あなたは、最終的に、すべての行法が止息したのを発見する。

あなたの心は、自ら涅槃を実見する(実際に見る):

それは、完全に、(無為)を覚知し、涅槃を所縁とする。

このことは、道心路(Maggavīthi)が生起した時に、発生する。

それらは、

12)随順智(Anuloma‐ñāṇa)

13)種姓智(Gotrabhu‐ñāṇa)

14)道智(Magga‐ñāṇa)

15)果智(phala‐ñāṇa)

16)省察智(Paccavekkhaṇa-ñāṇa)。

最後の、上記の、五種類の智は、道心路が生起する時に、生起する。

それは、7種類の心を含むが、(発生する)段階を追って、以下の通りである。

1)意門転向心:諸行法を、無常・苦・無我として観照する。具体的には、生起する行捨智<注385>に基づいて決定する。

引きつづいて密接して、三個の予作(予備)速行心(javana)が生起する。同様の方法によって、諸行を観照する。

2)予作(予備)(parikamma)<注386>。

3)近行(upacāra)

4)随順(anuloma)

この三個の速行心は、事実上は、12番目の観智を構成している:

随順智(Anuloma-ñāṇa)は、何に随順しているのか?

直前の心及び、その後の心に、随順している。

こうした事から、それらの作用とは、種姓智の為の準備をすることであり、種姓智に接近し、かつ、随順するのであると言える。

それらの重複は、直前に生起した所の、有為法を所縁とする8種類の観智(生滅智から行捨智まで)をば、無為法を所縁とする、道果智の37法<注387>に渡り、至らせしめる為の、準備を整えているのだ、と言える。

随順智は、諸行法を所縁とした所の、最後の一種類の観智である。

5)第四番目の速行心は、涅槃を所縁とする。

これは、13番目の観智である:種姓智(Gotrabhu‐ñāṇa)。

種姓心は、(無為)涅槃を知見するものの、しかし、それは、菩薩を断じ除くことができない。それの作用は、凡夫種姓から、聖者種姓に変更することである。

6)五番目の速行心が生起すると、それは涅槃を所縁とする。これは、相応する煩悩<注388>を打ち壊すことのできる14番目の智である:道智(magga-ñāṇa)。

7)六番目と七番目の速行心<注389>が生起するが、それは涅槃を所縁とする。それらは、15番目の智である:果智(Phala-ñāṇa)。

省察

この後、引き続いて、最後の一種類の智が生起する。すなわち、第16番目の智である:省察智(Paccavekkahṇa-ñāṇa)。五種類の、異なる省察がある:

1)道智の省察

2)果智の省察

3)すでに断じ除いた煩悩への省察

4)いまだなお、断じ除いていない煩悩への省察<注390>

5)涅槃への省察

この時、あなたは、真正なる四聖諦智を成就し、かつ、己自ら、涅槃を証したのである。

この種の証悟を通して、あなたの心は、邪見から抜け出して、かつ清浄なものとなった。

もし、引き続き、この様に修行するならば、あなたは、阿羅漢と般涅槃を証悟することができるでろう。

この種の、観智に関する修行は、まだ、各種の細目があるが、しかし、我々は、講話の内容を、出来る限り、簡潔で要領を得たものにするため、それら(の説明)は、割愛する。

この種の修行を学ぶ最も良い方式は、資格を有する老師(先生)の指導の下、禅修行の過程を完成させるものである。

この様であれば、あなたは、系統的な方式に基づいて、順序に従って、学ぶことができる。

<翻訳文責:緬甸パオ森林僧院/ヤンゴン分院所属/Pañña-adhika Sayalay般若精舎>