★『教海覚舟』<教えの海悟りの舟>(6-7)(私家版)
徳米亜王子は、国王になると、悪行をなす事、そして、それによって地獄に生まれ、輪廻が長引く事を、深く知り尽くしていた為、彼は、国家を統治する事を恐れた。
この種の危険な境遇と異なり、出家の環境は、煩悩と不善法を減らし、輪廻の旅を短縮するのに助けとなり、誰であっても、俗世を捨てて、出家するならば、みな、不善を減らす事ができる。
故に、徳米亜王子は、本来ならば、継承しなければならない王位を放棄して、出家の選択をした。
国王マハージャナカ(Mahājanaka)もまた、王位を放棄して、出家した。
彼は以下の様な偈頌を誦して、智者と大士の、出家への崇高な敬意を表した:
”Hitvā satapalaṃ kaṃsaṃ、
sovaṇṇaṃ satarājikaṃ;
Aggahiṃ mattikāpattaṃ、
idaṃ dutiyābhisecana”
”100巴羅(注2)の重さの赤銅、100拉基卡(注3)の重さの黄金を捨棄し、土鉢を得た。
これは、私の、二回目の灌頂である”(注4)。
注2=巴羅:pala。重量の単位。一巴羅は約4オンス。
注3=拉基卡:rājikā。黄金の重量単位。実際の重量は不明。
注4=《小部・本生》第539 ”摩訶伽那迦本生”より。
(6-8につづく)
<願以此法布施功徳、早日証得涅槃楽>