南伝仏教のDhamma book

長年、当ブログにおいて逐次公開しましたテーラワーダ系仏教書翻訳文は、<菩提樹文庫>にてPDF版として、正式に公開されています。<菩提樹文庫>WEBをご閲覧下さい。尚、修行については必ず経験豊富な正師について下さるようお願いします。

「身念処」3-13

    <Idaṃ me puññaṃ nibānassa paccayo hotu>

12、随順智

この智は、一個の完全な智慧である為、修行者をして、四聖諦を体験・証悟せしめる事ができる。

この智は、前の段階のいくつかの階智によって誘発され、生起するもので、この階智における、勇猛な智慧は、前段階のいくつかの智より更に信心(=確信)が具足しており、更に精進するようになり、また、更に(+強固な)念住があり、慧による理解が更に進むーーというのも、修行者は、苦諦と集諦を体験・証悟したが為に。

37道品によると、この智は、すでに七菩提分(七覚支)のレベルに到達している。というのも、それは四聖諦を体験・証悟する助けになるが故に。

仏法の中には、三つのレベルの智慧がある:

第一と第二の階智:知遍知。

第三と第四の階智:審察遍知。

第五から第14階智:断遍知。

Vipassanaの作用は、第一階智から始まり、徐々に迷いを断じて、第12階智に至る。

しかし、この智は世間に属するーー世間智の作用に含まれる。

随順智においては、三法印を所縁として、前二つの聖諦(苦諦と集諦)を体験・証悟する。これより以降、二度と、身・心を所縁とする事はない。すなわち、最後の観智である。

随順智は、三法印のどれか一相を観ずる事によって道刹那(道識を主宰する心)が誘発される。(第11階智の最後の三段階を参照の事)この過程の全体は、わずか、三つの速行心という極めて短い時間内において生起して、完成する。

随順智の源は、行捨智(第11階智)であり、かつ、種姓智(第13階智)が生じるための資助(=元手)と助縁になる。

随順智(第12階智)から種姓智(第13階智)に発展する過程は以下の通り:

ちょうど、大木の枝に縄をかけて、その縄を掴んで、川を飛び越えるようなもの。縄を掴んでいるのは遍作(随順智の第一個目の速行心:準備心)で、遍作心は道心の為の準備をしている事になる。次の段階では、枝に掛けた縄を掴んだ人間は、川の真ん中まで移動している。これは近行(随順智の二番目の速行心)である。(+縄が更に振れて)人間が対岸に到着した時、この心は、種姓智と呼ぶ。この心は、涅槃を所縁としている。

随順智は、世間の範囲内の最後の智であるーー世間内の範囲とは、身・心を所縁としているという事である。

これより先、涅槃が心の所縁となる。

上に述べた方式(過程)において、世間心から出世間心に至るまでを、法決定(模範的次第、順序)と呼ぶ。

(3-14につづく)

      <Mama puññabhāgaṃ sabbasattānaṃ bhājemi>

(+ )(= )訳者。句読点等原文ママ。★誤字脱字を発見された方は、

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<原題「身念処」Vipassana Bhavana 第二版 アチャン・ネン著

中国語版→日本語訳出 翻訳文責 Pañña-adhika Sayalay>