Sayalay's Dhamma book

長年、当ブログにおいて逐次公開しましたテーラワーダ系仏教書翻訳文は、<菩提樹文庫>にてPDF版として、正式に公開されています。<菩提樹文庫>WEBをご閲覧下さい。

翻訳(中→日)《実用アビダンマ》(3-58)(私家版)

「痴は一切の不善心の根本」

である。

すべての不善心には、かならず、すべてに亘って、痴が存在する。

ただ、

「悦具邪見相応無行一心」

においては、貪が、比較的顕著である。

「憂具瞋恚相応無行一心」

には、瞋と痴のふたつがある。

「捨具疑相応一心」、

「捨具掉挙相応一心」は、

ただ一個の因、すなわち、純粋に、痴のみ、存在する。

この様に、不善心は、ある時には、二個の不善因があり、ある時には、一個の不善因がある、ということになる。

貪・瞋・痴の三個の不善因は、同時に発生する事はない。

というのも、瞋と貪は、相反する状態であって、瞋は排斥、貪は掴み取る事、を意味するが故に。

ふたつの相反する状態の心が、同じ一つの心識刹那において生起する事は、不可能である。

故に、三個の不善心は、同時に生起する事はない。

(3-59につづく)

★句読点は中国語原文を優先尊重。

<願以此功徳、早日証得涅槃楽> 

   <緬甸パオ森林僧院/ヤンゴン分院所属/

    Paññādhika Sayalay 般若精舎>