Sayalay's Dhamma book

長年、当ブログにおいて逐次公開しましたテーラワーダ系仏教書翻訳文は、<菩提樹文庫>にてPDF版として、正式に公開されています。<菩提樹文庫>WEBをご閲覧下さい。

2016-01-01から1年間の記事一覧

「南伝仏教キホンのキ」(翻訳文)2-10

ここでもう一つ物語りを紹介したい。 仏陀御在世の時、名前をヴァッカリ(Vakkali)という青年がいた。ある日、彼は、町で仏陀に出会い、仏陀の英俊な風貌と、荘厳なたたずまいに深く引き込まれた。 常に仏陀を見ていたいが為に、彼は出家して比丘になった。…

パオ・セヤドー弘法記念「顕正法蔵」(翻訳文)~4-7

4-2 八聖道分 仏陀は《転法輪経》の中で、引き続き、以下のように言う: 「比丘たちよ。徹見を引き起こし、真知を引き起こし、寂静、勝智、正覚、涅槃へと向かう中道とは、何か? それは八聖道分であり、すなわち、正見、正思惟、正語、正業、正命、正精進、…

「南伝仏教キホンのキ」(翻訳文)2-9

摩嗄藍は再び問うた: ”一人一人の弟子は、そのように指導された後、修行の最終目標ーー涅槃を証悟する事はできますか?” 世尊は答える: ”ただ一部分の人だけが、修行の最終目標ーー涅槃を証悟することができます。ある種の人々はできません” 摩嗄藍は不思…

是誰庵のひとやすみ~マインドフルネス

今朝、二男のフェースブックを見ていると、誰かさんのフェースブックに繋がりました(こういう仕組み、PC音痴のわたくし、実は、余りよく分かっていないのですが)。 その誰かさんの記事がなかなか面白かったので、簡単にご紹介。 それは今はやりの、マイ…

是誰庵のひとやすみ~鳩ちゃんがやって来た

我が家には私と、白毛のペキニーズのオハナ(オス)がいます。以前、インコも飼っていましたが、私の不注意で、オハナにかまれて、死んでしまいました(籠の扉を自分で開けて、トコトコ出てきていたのに気が付かなかった)。 そんな中、我が家に鳩ちゃんがや…

是誰庵のひとやすみ~私とは誰か?

今年の夏、クムダ・サヤドーの、熱海での リトリートが終わった後、私は『無我』 (ブッダダーサ尊者著)という本の翻訳に 取り掛かりました(現在<菩提樹文庫>で 公開済み)。 その理由は、我々仏教徒は、仏教徒にとって 最も重要な問いかけ、「私とは誰…

是誰庵のひとやすみ~貧困と老後とアーミッシュ

先ほど、インターネットの記事を読んでいましたら、現代の若者(老人も含むのでしょうが)は、貧困と老後の事が心配なのだ、とありました。 貧困、これは、現行の社会体制が悪いでしょうか。 ようやく就職できたとしても、ブラック企業が多く、サービス残業…

パオ・セヤドー弘法記念「顕正法蔵」(翻訳文)~4-6

4-1、軛孔経 ここで、私は《相応部・軛孔経》(Saṁyutta Nikāya、Chiggaḷayuga Sutta)の中の経文を一部分引用して、四聖諦の重要性を説明したいと思う。 この経の中で、仏陀は言う: 「比丘たちよ。もし、ある人が、真ん中に穴の開いた軛を大海の中に放り込…

パオ・セヤドー弘法記念「顕正法蔵」(翻訳文)~4-5

4、中道 仏陀は続けて言います: 「この二種類の極端を避けて、如来は中道を実践する。この中道は、徹見(=徹底的な知見)、真知(=真実なる知見)を引き起こし、寂静、勝智、正覚、涅槃へと向かう」 「中道」と呼ばれるのは、それが、二種類の極端な行為…

「南伝仏教キホンのキ」(翻訳文)2-8

名を《算術師摩嗄藍経》という経文がある: ある日、姓を摩嗄藍という算術師(数学の教師)が、世尊を訪ねてきた。 お互いにあいさつを交わした後、算術師摩嗄藍は世尊に問うた: ”友、ガウタマよ。この殿堂を建設する時、一層の上にまた一層と建てていかね…

パオ・セヤドー弘法記念「顕正法蔵」(翻訳文)~4-4

3、二種類の極端 二種類の極端な行為について、仏陀はこう 述べている: 「一種類は、感官の享楽に迷い、沈潜する事で、これは低俗な、粗野な、凡夫の、非神聖な、利益のない行為である;もう一つは、己を苛む苦行で、これは苦痛で、非神聖で、利益のない行…

是誰庵のひとやすみ~スナフキン

先日、近所の農産物直販所へ野菜を買いに 出かけました。最近、野菜が急騰している ので、少しでもお安いものを、と思って 出かけたのですが・・・。 そこで、帽子を衝動買いしてしまいました (苦笑)。 私、帽子が好きなのですね。 若い頃、銀座のデパート…

是誰庵のひとやすみ~急がば回れ

仏陀が偉大なのは、定(止禅)より、観禅(五取蘊における無常・苦・無我の三相の観察)の方が、「己とは何か」の覚醒にとっては大事であると悟り、また、その観禅の手法自体を、他人に教える事が出来たから(世の中、宇宙の真理を悟ったはいいけれど、上手…

是誰庵のひとやすみ~「無我」公開されました

本日<菩提樹文庫>の責任者様より連絡 があり、私が翻訳してブログに載せていた ブッダダーサ尊者の「無我」が、<文庫> にて公開されました。 正順で、また上手に編集して頂いたので、 ブログより読みやすいかと思います。 どうぞご閲覧下さい。 Pañña-ad…

是誰庵のひとやすみ~仏教徒の落とし穴

今、「あなたの世界の終わり」という本を読んでいる。禅的な手法で悟ったマスター(アメリカ人)が、その系譜の人たちへ注意事項を語っているもので、なかなか興味深いことが書いてある。 私(たち)は、一応仏教徒です。 仏陀は涅槃、無為法が一番だと勧め…

是誰庵のひとやすみ~仏教用語の定義

仏教書の翻訳をしていると、仏教用語の定義に悩まされることがあります。 例えば、<煩悩>を中国語で<fan・nao>と読むと、割と明確なイメージが湧きます。 凡夫の日常レベルに置き換えると、それは、ストレス、心配事などとなり、ない方がよいので、努力…

パオ・セヤドー弘法記念「顕正法蔵」(翻訳文)~4-3★

2-2 五つの条件 四無礙解智を成就するには、以下の五つの条件が必要である: 1、証悟(adhigama):阿羅漢道またはその他の、何か一つの聖道を証する事。 2、教理に精通する(pariyatti):三蔵聖典の暗唱。 3、聞法:(savana):細心に、尊敬の念をもっ…

是誰庵のひとやすみ~政治と仏教

今朝のインターネット記事に「(日本の)資本主義は終わったか」というのがありました。 今後、アメリカは金利を上げる。日本は上げない(上げられない)。そうすると、日本の資金はアメリカに逃げるから、日本は資本主義的経済が回転していかないだろう、と…

「南伝仏教キホンのキ」(翻訳文)2-7

第三節 仏教の本質 ここから、仏教とは、すなわち、覚醒者の教えであり、人をして悟りへと導くことのできる教えである、ということが分かる。 この意味を踏まえれば、仏教とは、”仏法”である、ともいえる。 しかし、もし、仏教を信仰の一種及び実践のシステ…

「南伝仏教キホンのキ」(翻訳文)2-6

これが、仏陀が覚醒(=悟る事)した法であり、仏陀が教えた法でもある。 仏陀の45年間の教化の生涯で、教えた内容は色々あるけれども、この四聖諦を出るものではない。四聖諦は仏陀の教えの根本であり、もし、人が四聖諦を把握したならば、それは仏教の真髄…

是誰庵のひとやすみ~這里有売黄金塊

先日、水中運動に行きましたら、運動仲間たちが<アメリカの大統領戦、クリントンが勝つか、トランプが勝つか>と、話し合っていました。 その中の一人が、「どちらも足のひっぱり合いで、ニュースを聞いていても気分が悪い」と言い、大勢の人が賛同していま…

パオ・セヤドー弘法記念「顕正法蔵」(翻訳文)~4-2

2、五人の比丘 経文は以下のように続く: その時、世尊は、五人の比丘におっしゃった: 「比丘たちよ。二種類の極端な行為は、出家者は従事してはならない。 どの二種類であるか?」 「出家者」(pabbajita)とは、煩悩を断滅する為に努力している人を言う…

「南伝仏教キホンのキ」(翻訳文)2-5

第二節 仏陀は何を教えたのか? 仏陀は何を教えたのか? 仏陀が教えたものは、すなわち、彼が菩提樹の下で覚醒して得たものである。 仏陀は何を覚醒したのか? 仏陀は法について、覚醒したのである! 法とは何か? 法、パーリ語ではdhammaといい、それは生命…

「南伝仏教キホンのキ」(翻訳文)2-4

この時から、我々の菩薩は、仏陀になったのである。 彼の姓(ファミリーネーム)がガウタマであった為、経典の中では、通常、ガウタマ仏陀と呼ばれている。が、時には、氏族の姓をとってサキャムニ(Sakyamuni)と呼ばれることもあり、それは、釈迦族の聖賢…

是誰庵のひとやすみ~一日の恩人

私は子供の時から仏教が好きでしたし、中学生のころは、禅宗のお寺で出家できないかな、なんて考えていたくらい。 ただ、なぜ座禅・瞑想をやるのかという事を解説した子供向けの本がないので、ここの所が今一つよく分からず、もし、座禅・瞑想が無意味な行為…

「南伝仏教キホンのキ」(翻訳文)2-3

第一節 仏陀 まず最初に、我々は、確信をこめて、こう言いたい: 仏陀は神ではない! 仏陀は人間で、歴史上に実際に存在した偉人 である。 紀元前624年太陽暦5月の満月の日、古代インドのヒマラヤの南麓の釈迦国(Sakya)の王都 カピラバットゥ(Kapilavatth…

「南伝仏教キホンのキ」(翻訳文)2-2

第一章 仏教とは何か? 人は言う:仏教は宗教である。 人は言う:仏教は文化である。 人は言う:仏教は科学である。 人は言う:仏教は哲学である。 人は言う:仏教は教育である・・・。 仏教とは一体何であるのか? 仏教、パーリ語では Buddha-sāsana という…

パオ・セヤドー弘法記念「顕正法蔵」(翻訳文)~4-1

<転法輪経解説> 1、縁起 《転法輪経》は、仏陀が成道後、開示した最初の経で、この経が開示された対象は、五人の比丘である。 シッダッタ太子は、出家して間もなく、剛毅な気力をもって、ウルヴェラ(Uruvera)の森の中で各種の苦行を修行した。この五人の…

是誰庵のひとやすみ~280・230

280・230、フリーメーソンの暗号? ではありません(笑)。 私はお餅が好きで、我が家のホームベーカリー の<お餅モード>でお餅をつくときの、 もち米と水の割合です。 (280gのお米に230㏄の水、という意味です) これ、取説を見ないでも、覚えています。…

パオ・セヤドー弘法記念「顕正法蔵」~択法覚支番外編

先日、読者の方から<「顕正法蔵」2-11> の文中、択法覚支の説明の段落中に 書かれている『善き巧みな方法』とは何か? というご質問を、頂きました。 細かく解説しますと、以下の通りです: 安般念を実践している時、息の四大の特徴、 すなわち、息の中の…