Sayalay's Dhamma book

長年、当ブログにおいて逐次公開しましたテーラワーダ系仏教書翻訳文は、<菩提樹文庫>にてPDF版として、正式に公開されています。<菩提樹文庫>WEBをご閲覧下さい。

2016-08-01から1ヶ月間の記事一覧

ブッダダーサ尊者著「無我」(翻訳文)ー26

その他の宗教的学説における無我観 混乱を避けるために、我々は、外道の無我観 に注意を払う必要がある。 仏教の分類では、外道の観点は、二種類に 分けることができる。 一種類目は、世界を壊滅に向かわせる 間違った観点であり、二種類目は、 間違った観点…

ブッダダーサ尊者著「無我」 (翻訳文)ー25

要するに、仏陀の言う無我とは、有為法と 無為法を含む所の各階層の「自我」を 否定している。 言い換えれば、「幕の前」と「幕の後ろ」 の両方、知識と無知の両方(+をよく知る 必要があるの)である、ともいえる。 仏陀は世間的な言い方を尊重して、善を…

ブッダダーサ尊者著「自我」(翻訳文)ー24

最初、人は、心・身の結合をもって、一人の 個体となる。その後に、人は、それが 「自我」ではないことをはっきりと知り、 それを解消して、「無我」の境地に到達し たいと思う。 しかし、いまだにいくつかの微妙な間違った 概念を持つ、無明なる人々につい…

ブッダダーサ尊者著「無我」(翻訳文)ー23

「我執」を取り除いてはじめて解脱者と なることができる~ 上記のことから、我々は、真実世間の 衆生は、「自我(ママ)」の観念から離れる ことができないことが分かる。 ゆえに、仏陀は、人々に罪悪を除き、 功徳をなすようにと、教えた。 仏陀は、また言っ…

ブッダダーサ尊者著「無我」(翻訳文)ー22

故に、我執は、人々の最も根深い本質、 抜き差しならない本性と化し、かつ、 人々の心・身を主宰(=コントロール)し、 心・身は、「自我」の思考と感覚の統御を 受けることとなった。 このことは、なぜ、心霊が自然に事物を 感じ取れるのか、という疑問の…

ブッダダーサ尊者著「無我」 (翻訳文)-21

身体と心霊(ママ以下同様。辞書には、心、精神、霊魂)もまた 「自我(訳者註)」ではない~ 一体誰が、功徳、罪悪、善事、悪事などを したがるのか、または禁止されていると して実践しないか、または恐ろしく感じて、 実践しないのか? この点に関して、もし…

ブッダダーサ尊者著「無我」(翻訳文)-20

有為法、無為法は共に「無我」である~ 前の章において、私がすでに述べたとおり、 存在する事物はすべて二種類ーー有為法と 無為法に分類することができる。 私は、この両者をさらに進んで理解したい と思う読者各位に、それらは非「自我」 であり、また(…

ブッダダーサ尊者著「無我」(翻訳文)ー19

涅槃という、この抽象的な境地は、決して 物質的な存在ではなく、いかなる明確な、 特殊な味も持っていない。 ゆえに、感官の接触を通して、それを 認知することはできない。 ある種の事物は、感覚、記憶、それから (+それに)満足するか不満であるかに よ…

ブッダダーサ尊者著「無我」(翻訳文)ー18

[有為法は、心身を通して認知できる現象] 有為法は、現象界に属し、我々は、目、 耳、鼻、舌、身体、意の六根によって それらを認知することができるし、 心身を通して、それらと交流ができるし、 それらを研究することもできる。 この領域に属する「法」ま…

ブッダダーサ尊者著「無我」(翻訳文)ー17

仏陀の「無我」(要旨) ある種の人々は、他人が仏陀の「無我」の 教えに言及すると、非常に驚くことがある。 ここで、特別に仏陀について陳述するのは、 その他の学説の中に、あるものは非常に仏陀 の教えと似ているものがあり、しかし、 仏陀の教え、たと…

是誰庵のひとやすみ~心霊と心(大人のなぞなぞ)

ブッダダーサ尊者は著書「無我」の中でいう。 《心霊ママが「自我」に執着する時、<心ママ> は解脱できない》。。 (心が「自我」に執着する時、心霊は 解脱できない、と言い換える事はできる のでしょうか?) まぁ、どちらにしろ、非常に重要な 概念ですね。…

ブッダダーサ尊者著「無我」(翻訳文)ー16

この点に関して、我々は知っておかねば ならないことがある。 人類は、その始まりからして、一歩一歩 よりよいものを追及してきて、最も完成度 の高い本能にまで、到達した。 そしてその次に、一つの問題が発生した。 いったい何が、最も完成度の高い、 また…

ブッダダーサ尊者著「無我」(翻訳文)ー15

仏教は、「無我」の教え故に、その他の宗教 を超越する~ 究極的な意義から言えば、すべての宗教は、 同じ目的ーー永恒の安楽を目標としている。 そうではあっても、我々は依然として、 以下の問題を考えてみる必要がある。 なぜ、ある種の宗教は、比較的高…

ブッダダーサ尊者著「無我」(翻訳文)ー14

ここで討論する「自我」と「無我」は、 前のページで述べた第三番目、すなわち、 哲学的な問題に相当し、また、一部分に おいては、第四番目の神秘体験に属する。 それが哲学的な問題だというのは、それが 純理論に属するがゆえであり、人類と動物 は虚妄で…

是誰庵のひとやすみ~仏教書の翻訳

私は、子供の時から仏教が好きでしたが、 まさか自分が仏教書の翻訳をするように なるとは、夢にも思っていませんでした。 私は、子供の時から、独りで仏教書の あれこれを読んでいたのですが、大乗 経典がどうしても納得できない。 「こんなこと、世尊がい…

パオ・セヤドー講述「菩提資糧」(翻訳文)-166(「大菩提乗」編、これにて終了)

波羅蜜の果とは何か?~ 「波羅蜜の果とは何か?」という問いに 関する、その簡単な答えは以下の通り: 波羅蜜の果とは、阿羅漢道智と一切知智を 始めとする、無量の仏陀の素質のことである。 すなわち、仏果を証悟するとは、波羅蜜の果 である。 詳細な説明…

パオ・セヤドー講述「菩提資糧」(翻訳文)-165

次に、以下もまた波羅蜜が齎す 利益である: 仏になりたいと願を発して以来、 菩薩は時々刻々、衆生の利益と幸福の ために考え、思い、まるで、彼らの 父親のようである。 彼は特殊な資質を有しており、布施と 敬意を受けるに値する。 彼は優越した福田のよ…

是誰庵のひとやすみ~さて、冬は

毎日、暑い暑いと言い暮らしていても、今日は お盆。こちらでは本日、花火の打ち上げと太鼓 の競演、明日は攘蝗祭と〆の盆踊り(お年寄り が練習に練習を重ねた本格盆踊り。正調盆踊り 音頭付き)。 そして、秋がやってくる。 Y盆地は高原にあって、冬は寒い…

是誰庵のひとやすみ~ミミズの一家

毎日、暑い暑い。 熱中症が怖くて、あまり外に出られない。 でも、そろそろ、庭先の段ボール、 片付けなくては・・・。 最近、アマ〇ンの通販で物を買うことが多く、 段ボールが溜まる溜まる。 本当は、月二回の段ボール回収日に 出せばいいのだけれど、当日…

パオ・セヤドー講述「菩提資糧」(翻訳文)-164

三種類の菩薩~ 菩薩が最初の授記を受けるとき(たとえば、 スメダ隠士)、彼らは三種類の菩薩に 分類することができる: 一、敏知者菩薩(略して、智者菩薩); 二、広演知者菩薩; 三、所引導者菩薩。 三種類の菩薩の中で、もし、敏知者菩薩が、 授記を受…

パオ・セヤドー講述「菩提資糧」(翻訳文)-163

波羅蜜を円満成就するには、どれほどの 時間がかかるのか? 「波羅蜜を円満成就するには、どれほどの 時間がかかるのか?」という疑問に関して、 その答えは: 波羅蜜を円満成就する最短期間は、 4阿僧祇と10万大劫である: 中等の期間は8阿僧祇と10万…

パオ・セヤドー講述「菩提資糧」(翻訳文)-162

(三)これ以外に、菩薩は初めて仏を 見た時、自己の身体を仏に献身し、 言ったのである: 「私は仏に、身体を献身したいと 思います。」 仏に献身することは、波羅蜜を円満成就 するよい方法である。 実際、仏に献身した菩薩は以下のように 考える: 「私は…

パオ・セヤドー講述「菩提資糧」(翻訳文)-161

(1)菩薩の手元に布施できる物品が あるときで、かつ、乞う者が来たが、 しかし、彼の心には、布施をしたいと いう傾向がない場合、彼は理解する: 「絶対に、私は布施の習慣に慣れて いないに違いない。ゆえに、このような 良き因縁の時にも、私には、布…

パオ・セヤドー講述「菩提資糧」(翻訳文)-160

波羅蜜を成就する要素とは何か? 「波羅蜜を成就する要素とは何か?」と いう問題に関して、 その答えは: 一、四種類の成就を育成する; 二、諸々の波羅蜜の対立要素を省察し、 それらを取り除く; 三、仏に献身する。 詳細な解釈: (一)四種類の、波羅蜜…

パオ・セヤドー講述「菩提資糧」(翻訳文)-159

波羅蜜の全面的分析とは何か? 「波羅蜜はいったい幾つあるのか?」という問 いに対して、簡単に答えるならば、 それは:波羅蜜は30個ある。すなわち、 10個の普通波羅蜜(pāramī)、 10個の中等波羅蜜(upapāramī)、 10個の究極波羅蜜または最高度波羅蜜(…

是誰庵のひとやすみ~翻訳の今後

現在翻訳中の<パオ・セヤドー講述「菩提 資糧」>の前半、<大菩提乗>の部分は、 後2、3日で終了します。 その後、ブッダダーサ尊者著「無我」の 翻訳に専念します。 その後に、<パオ・セヤドー講述「菩提 資糧」>に戻り、後半の<問答集・ その他>を…

パオ・セヤドー講述「菩提資糧」(翻訳文)-158

彼ははっきりと、色界と無色界の梵天が、 最長8万4000大劫の天寿を享受した後、 やはり無常の自然原則から逃れることが できなくて、無数の生老病死の輪廻の 苦海に落ちるのを、見ることができる。 これは、まるで、健康で力の強い鳥が、 遥かかなたの天の…

パオ・セヤドー講述「菩提資糧」(翻訳文)-157

またその上、彼は自己の生命と身体を 捨てることを通して、衆生を支援し、 保護する; 彼は、各種の方法を探し実践して、衆生 のいろいろな苦を軽減しようとする。 たとえば、飢餓、喉の渇き、寒さ、暑さ、 風、日照りなど。 彼は、分別心なくして、一切の衆…

パオ・セヤドー講述「菩提資糧」(翻訳文)-156

如何にして精進波羅蜜を修習するのか? 一人の、敵を打ち負かしたいと思っている 将軍は、不断に奮闘する。 同じく、他人を頼らず、自力で煩悩敵を 克服したいと思い、かつ、衆生を指導して 同等の征服行動をとりたいと願う菩薩は、 時々刻々、もろもろの波…

パオ・セヤドー講述「菩提資糧」(翻訳文)-155

如何にして智慧波羅蜜を修習するのか? 智慧の光が、愚痴(=愚かさと無知)の 暗黒とは共存できないことから、智慧 波羅蜜を修習する菩薩は、愚痴に落ち込む 原因を避ける。 それはたとえば、善法に反感を覚える (arati)、懈怠、昏沈(正念のない事) の…