南伝仏教のDhamma book

長年、当ブログにおいて逐次公開しましたテーラワーダ系仏教書翻訳文は、<菩提樹文庫>にてPDF版として、正式に公開されています。<菩提樹文庫>WEBをご閲覧下さい。尚、修行については必ず経験豊富な正師について下さるようお願いします。

2018-01-01から1年間の記事一覧

『涅槃証悟の唯一の道』 パオ・セヤドー著(10-3)

<Idaṃ me puññaṃ nibānassa paccayo hotu> (1)正見(sammā-diṭṭhi): 智慧でもって、涅槃法を覚知する。 (2)正思惟(sammā-saṅkappa): 尋(vitakka)心所に相当する。心を涅槃法に投入せしめる。 (3)正語(sammā-vācā): 涅槃法の覚知を通し…

『涅槃証悟の唯一の道』 パオ・セヤドー著(10-2)

<Idaṃ me puññaṃ nibānassa paccayo hotu> 観の修習の第四段階における八支聖道 道智と果智が生起する時、それはまた、出世間八支聖道でもあるがーー出世間vipassanā の生起でもある。 世間的vipassanā について言えば、八支聖道の八項目の要素は、世間的…

『涅槃証悟の唯一の道』 パオ・セヤドー著(10-1)

<Idaṃ me puññaṃ nibānassa paccayo hotu> 第四節 観業処の第四段階 最後の三種の観智 (14)道智(Magga ñāṇa): この種の智は、一番最初の出世間観智であり、それは涅槃を所縁に、取るものである。 すべての世間的観智は、煩悩を鎮伏するだけであるが…

『涅槃証悟の唯一の道』 パオ・セヤドー著(9-20)

<Idaṃ me puññaṃ nibānassa paccayo hotu> (9)欲解脱智(Muñcitukamyatā ñāṇa): これより以前に累積した所の、強くて力のある観智によって、この段階において、あなたは、五蘊に対する厭離の感覚が、更に強烈に強化されて、五蘊から解脱したいと思う…

『涅槃証悟の唯一の道』 パオ・セヤドー著(9‐19)

<Idaṃ me puññaṃ nibānassa paccayo hotu> 我々は次に、vipassanā の第三段階について、 論談する事にする。 すなわち、以下の 9種類の観智である: (5)壊滅随観智(Bhaṅgānupassanā ñāṇa): 五蘊の壊滅を、特に(+重点的に)観照する。 その事によっ…

般若の独り言~rūpakalāpaを見るまでは(2)

もうすぐ年末ですが、毎日せっせと、パオ・セヤドー著『涅槃証悟の唯一の道』を、翻訳しています。 Hatena blog では、作表が出来ませんので、原文 P135 以降にある付表は、すべて割愛させて頂きますので、後2、3日で終わらせる事が、できる様です。 しか…

『涅槃証悟の唯一の道』 パオ・セヤドー著(9-18)

<Idaṃ me puññaṃ nibānassa paccayo hotu> (130/160) 前13種類の観智 合計16の観智があるが、我々は、前の四種類については、すでに論談した。 その内、以下の観智は、vipassanā の第一段階である、と言える: (1)名色識別智(Nāmarūpapariccheda ñā…

『涅槃証悟の唯一の道』 パオ・セヤドー著(9-17)

<Idaṃ me puññaṃ nibānassa paccayo hotu> 第三節 観業処の第三段階 禅修行者は、同様の道理を用いて、八支聖道の八項目の要素が、どの様にして、観の修習の第三段階において生起するのかを、理解することができる。 まさに仏陀が《大念処経・入出息念部分…

『涅槃証悟の唯一の道』 パオ・セヤドー著(9-16)

<Idaṃ me puññaṃ nibānassa paccayo hotu> (1)正見(sammā-diṭṭhi): 智慧で以て、色法の無常を覚知する。 (2)正思惟(sammā-saṅkappa): 尋(vitakka)心所に相当する。 心をして、色法の無常に、投入せしめる。 (3)正語(sammā-kammanta): …

『涅槃証悟の唯一の道』 パオ・セヤドー著(9-15)

<Idaṃ me puññaṃ nibānassa paccayo hotu> 観の修習の第二段階における八支聖道 ここにおいて、あなたが、観業処の第二段階を修習する過程においてもまた、引き続き、八支聖道を育成しているのである、と言える。 どの様な時であっても、あなたが、究極色…

『涅槃証悟の唯一の道』 パオ・セヤドー著(9-14)

<Idaṃ me puññaṃ nibānassa paccayo hotu> この段階において、我々は、禅修行者たちに対して、彼らが、これらの異なるグループの、11種類の五蘊の三相に関して行う観照に対して、修習・実践を強化できる様に、異なる方法を用いて、指導する事となる。 禅修…

『涅槃証悟の唯一の道』 パオ・セヤドー著(9-13)

<Idaṃ me puññaṃ nibānassa paccayo hotu> 上に述べたものは、禅修行者が観の修習の時に観照しなければならない所の、三種類の相(tilakkhaṇa)である。 あなたは過去、現在、未来、内と外、粗さと微細さ、劣等さと優秀さ、遠いと近い、という五蘊の三相を…

『涅槃証悟の唯一の道』 パオ・セヤドー著(9-12)

<Idaṃ me puññaṃ nibānassa paccayo hotu> 刹那生滅の識別 引き続き、次は、刹那生滅(khaṇato udayabbaya) (+の説明)である。 それは、諸蘊の刹那刹那の生起、壊滅と変易を言うのである。 (1)諸蘊は生起するや否や、それらは即刻、極めて速くに壊…

『涅槃証悟の唯一の道』 パオ・セヤドー著(9-11)

<Idaṃ me puññaṃ nibānassa paccayo hotu> 縁滅の識別 逆順(paṭiloma)の縁起とは、12支縁起すべての還滅を言う。 これらの因支は、阿羅漢を証悟した時に無効となる。 それは、阿羅漢道の威力によって、煩悩輪転は余すところなく滅尽するが故に・・・すな…

『涅槃証悟の唯一の道』 パオ・セヤドー著(9-10)

<Idaṃ me puññaṃ nibānassa paccayo hotu> ここにおいて、前世の最後の一個の心路の所縁は、同時に今世の一番目の心でもあるーーすなわち、結生心(paṭisandhi citta)の所縁である(+事が分かる)。 この所縁の出現は、あなたの前世の臨終において、成熟…

『涅槃証悟の唯一の道』 パオ・セヤドー著(9‐9)

<Idaṃ me puññaṃ nibānassa paccayo hotu> (125/160) (1)業(kamma): 同一の一生の中における、更に早い時期または、ある過去世の中において、造(ナ)した所の、善業の思(=思い)。 例えば、あなたが、比丘に食べ物を供養したか、またはその他…

『涅槃証悟の唯一の道』 パオ・セヤドー著(9-8)

<Idaṃ me puññaṃ nibānassa paccayo hotu> これらの例の中において、業行(saṅkhāra)は、布施又は、入禅の善思(kusala cetanā)であり、業(kamma)は、それらの業力である。 これら二者は、業転輪(kammavaṭṭa)を構成する中心 (+点)に出現する。 発…

『涅槃証悟の唯一の道』 パオ・セヤドー著(9-7)

<Idaṃ me puññaṃ nibānassa paccayo hotu> (1)煩悩輪転(kilesavaṭṭa): ここにおいて、それは、比丘、比丘尼(尼僧)、男性、女性、天人または梵天人になりたいと言う不善貪根速行心を擁する意門心路である(+と言える)。 この一連の意門心路に沿っ…

『涅槃証悟の唯一の道』 パオ・セヤドー著(9-6)

<Idaṃ me puññaṃ nibānassa paccayo hotu> 縁生の識別 (縁生=縁によって生まれる事) 過去を識別するために、あなたは先に、蝋燭、花または線香などを仏塔または仏像に布施をする。 その後に、生まれ変わりたいという願を立てる。例えば、比丘、比丘尼(…

『涅槃証悟の唯一の道』 パオ・セヤドー著(9-5)

<Idaṃ me puññaṃ nibānassa paccayo hotu> 五因とは、生々世々、代々の善業と不善業の累積であり、その業力が五果を生じせしめる、すなわち、未来の業果である。 出生と生命は、過去の五因によって引き起こされた五果以外の何物でもない。自我というものは…

『涅槃証悟の唯一の道』 パオ・セヤドー著(9-4)

<Idaṃ me puññaṃ nibānassa paccayo hotu> (3)果報輪転(vipākavaṭṭaṃ): それは、識(viññāṇa)、名色(nāmarūpa)、六処(saḷāyatana)、触(phassa)と 受(vedanā)の循環である。 それは過去の業の結果である。 言い換えれば、それは生(jāti)、…

『涅槃証悟の唯一の道』 パオ・セヤドー著(9-3)

<Idaṃ me puññaṃ nibānassa paccayo hotu> (120/160) 第五法 三輪転 シャーリープトラ尊者の第五法によると、縁起とは、三輪転(vaṭṭa)に帰納する事ができるーー二種類の因(五つの因がある)の輪転と、一種類の果(五つの果がある)の輪転である。 (…

『涅槃証悟の唯一の道』 パオ・セヤドー著(9-2)

<Idaṃ me puññaṃ nibānassa paccayo hotu> 正順縁起の識別 しかし、ただ ”生死の発生は諸々の縁によるが、この縁の滅尽する時、生死流転もまた滅尽する” という信心(=信仰心)を擁しているだけでは足りない。 観智とは、いかなる時においても、己自身、直…

『涅槃証悟の唯一の道』 パオ・セヤドー著(9-1)

<Idaṃ me puññaṃ nibānassa paccayo hotu> 第二節 観業処の第二段階 次に、vipassanā の第二段階に進む: 【[2.1]あるいは、身随観において、生起する所の法(samudayadhammā)に住し、 [2.2]あるいは身随観において、壊滅する所の法(vayadhammā)…

『涅槃証悟の唯一の道』 パオ・セヤドー著(8-9)

<Idaṃ me puññaṃ nibānassa paccayo hotu> 観の修習の第一段階における八支聖道 前に述べた通り、世間vipassanā業処を修習する過程においては、禅修行者はまた、世間的な八支聖道を育成しているのだ、と言える。 この時、あなたは究極色法と究極名法を了知…

『涅槃証悟の唯一の道』 パオ・セヤドー著(8-8)

<Idaṃ me puññaṃ nibānassa paccayo hotu> 結論 あなたがすでに識別できた事柄について、我々は、ここで再確認してみたいと思う。 (1)すでに、内在する名法を識別し、かつそれを ”名” であると、確定することができた。 (2)すでに、内在する色法を識…

『涅槃証悟の唯一の道』 パオ・セヤドー著(8-7)

<Idaṃ me puññaṃ nibānassa paccayo hotu> (116/160) ”名” として観照する 色界と欲界心路の各種の名法を識別し、確定する目的は、心は、これらの名法の生、住、滅を除いては、他には何もない、という事を了知する為である。いわゆる霊魂、自我などとい…

『涅槃証悟の唯一の道』 パオ・セヤドー著(8-6)

<Idaṃ me puññaṃ nibānassa paccayo hotu> ここにおいて、初禅、第二禅と第三禅の、この三種類の遍作速行は、みな34個の名法を有しているが、しかし、第四禅の遍作速行は、33個の名法しかない(+事を説明するが、それはすなわち、ここには)喜(pīti)が…

『涅槃証悟の唯一の道』 パオ・セヤドー著(8-5)

<Idaṃ me puññaṃ nibānassa paccayo hotu> あなたは、一個のジャーナ心路において生起する所の、何千何万回の初禅速行心(javanacitta)の中の五禅支を、なるべく多く識別できる様なレベルにまで、禅の修習をしなければならない。 一個の初禅心が生起する…

『涅槃証悟の唯一の道』 パオ・セヤドー著(8-4)

<Idaṃ me puññaṃ nibānassa paccayo hotu> ジャーナ心路の識別 もし、あなたがすでに、入出息ジャーナに入る事ができるのならば、名法の修習の最もよい着手の方法は、先に禅支を識別し、次に、ジャーナ心とその他の心所を、識別する事である。 (+禅修行…