Sayalay's Dhamma book

長年、当ブログにおいて逐次公開しましたテーラワーダ系仏教書翻訳文は、<菩提樹文庫>にてPDF版として、正式に公開されています。<菩提樹文庫>WEBをご閲覧下さい。

2022-01-01から1ヶ月間の記事一覧

★『教海覚舟』<教えの海悟りの舟>(8-2)(私家版)

仏陀は真っ先に、《転法輪経》を宣言、開示した。 その聴衆は、以下の、5人の隠士である所の、 コーンダンニャ(koṇḍañña)、 ワッパ(vappa)、 バッディヤ(Bhaddiya)、 マハーナーマ(Mahānāma)、 アッサジ(Assaji)と、 一万輪囲世界の天神、梵天神で…

★『教海覚舟』<教えの海悟りの舟>(8-1)(私家版)

出家の始め 自覚者(己一人で悟りし者)、 世尊、円満者に礼拝! 我々の正自覚者は、一切の天神と人類等、世間的衆生の幸福の為に、エサーカ(esākha<ママ>、五月)の満月の日に証悟し、五種類の魔(māra、心の雑染)に打ち勝った。 証悟の後の第8週、仏陀…

翻訳(中→日)《実用アビダンマ》(3-148)(私家版)

これこそが、果心の作用である。 例えば、ある人が、体に火が着いたとして、熱くてたまらない。この時、清涼な水をバケツ一杯、彼に向けて浴びせたならば、彼は、炎の中から解脱する事ができた、と思い、非常な清涼を感じるであろう。 火とは、煩悩であり、…

翻訳(中→日)《実用アビダンマ》(3-147)(私家版)

修行の目的は、煩悩を断じ除く事である。 煩悩は、一切の痛苦の源である。 貪・瞋・痴は、煩悩を齎すが、それには非常に大きな(悪い)果報が伴う。 しかし、一たび、煩悩を取り除けば、(痛苦から)解脱する事ができる。 故に、修行の最終的な目的は、ソー…

翻訳(中→日)《実用アビダンマ》(3-146)(私家版)

例えば、あなた方が、今日、布施をしたとする。 それは、即刻果報を齎す、ということはない。 もしかしたら、今生においても、果報を得られず、次の世まで待たねばならない、かも知れない。 次の世において行った布施の善業は、即刻、果報を生じることはなく…

翻訳(中→日)《実用アビダンマ》(3-145)(私家版)

法には、六種類の功徳がある。 その内の一個は、「akaliko」--無間の、すなわち、時間的隔離のないもの、というのがある。 ソータパナ道心が生起するやいなや、それはすぐに滅し去る。 ソータパナ道心は、善心であるが故に、即刻、果報が生じる。 それは、…

翻訳(中→日)《実用アビダンマ》(3-144)(私家版)

uttara とは、超越の事。 故に、lokuttaracittāni の意味は、五取蘊によって構成された心を超越する、という意味になり、それを出世間心と呼ぶ。 この心は、生死輪廻から解脱する事、すなわち、涅槃に証入する、苦の止息に導く。 出世間心は、合計8種類ある…

翻訳(中→日)《実用アビダンマ》(3-143)(私家版)

八個の出世間心 次に8個の出世間心(lokuttaracittāni)(の解説)に進む。 パーリ語「lokuttara」は、二個の語句から構成されている。 loka と uttara である。 loka の意味は世間、であるが、ここで言う所の世間とは、通常認識されている所の世間ではなく…

翻訳(中→日)《実用アビダンマ》(3-142)(私家版)

15個の色界心と12個の無色界心全体は、総称して「広大心」(mahaggatacitta)と呼ぶ。 すなわち、殊勝であり、優越しており、高尚なる心である事を意味する。 というのも、それらは已に、諸々の蓋を離れているからであるが、それはすなわち、五蓋を離れてい…

翻訳(中→日)《実用アビダンマ》(3-141)(私家版)

四個の無色界唯作心 四つの無色界唯作心は、無色禅を擁する阿羅漢にのみ、生起する事ができる。 阿羅漢が、空無辺処無色禅に入ると、心流に、空無辺処唯作心が生じる。空無辺処善心ではない。 阿羅漢(の心流において)、もし、生起するのが空無辺処善心であ…

般若の独り言~虹君と散歩の後で

昨日は、雪と風で、大変に寒かったです。 今日は、晴れ間が見えます。 さっそく、虹君(注1)とお散歩して、今は、ストーブを焚いた、暖かい部屋でまったり。 虹君を抱っこして、へそ天のお腹をさすっていると、彼の、本能だけで生きている、天真爛漫さが羨…

★『教海覚舟』<教えの海悟りの舟>(7-28)(私家版)

パーチェカ仏は、バーラーナシー王に、出家の楽の、ほんの一部分を開示しただけであったが、王は、即刻、真相を見てとり、王位を放棄して、剃髪得度して出家し、その上、ジャーナと殊勝智を証得し、死後、梵天界に生まれた。 まさに、常に言われる所の ”Pabb…

★『教海覚舟』<教えの海悟りの舟>(7-27)(私家版)

”Aṭṭhamampi bhadramadhanassa、 anāgārassa bhikkhuno; Yaṃ yaṃ disaṃ pakkamati、 anapekkhova gacchatī.” ”八番目。 沙門は金庫を持たず、 その身に、金銭による、 汚染がない。 ただ、衣と鉢のみを持って、 遊行し、 心は、 以前の住居を、 懐かしがる…

★『教海覚舟』<教えの海悟りの舟>(7-26)(私家版)

”Sattamampi bhadramadhanassa、 anāgārassa bhikhuno; Corehi rakkhitaṃ maggaṃ、 ye caññe paripanthilā; Pattacīvaramādāya、 sotthiṃ gacchati subbato.” ”七番目。 待ち伏せしている強盗、 課税者と路覇(通行税を取る者)は、 みな、私に無関心であ…

★『教海覚舟』<教えの海悟りの舟>(7-25)(私家版)

”Chaṭṭhampi bhadramadhanassa、 anāgārassa bhikkhuno; Raṭṭhe vilimpamānamhi、 nāssa kiñci ahīratha.” ”六番目。 たとえ、戦争になって、 国全体が、 敵に略奪されたとしても、 沙門は、家無く、財も無い為、 奪われるものは、何も無い。 故に、家の無…

★『教海覚舟』<教えの海悟りの舟>(7-24)(私家版)

”Pañcamampi bhadramadhanassa、 anāgārassa bhikkhuno; Nagaramhi ḍayhamānamhi、 nāssa kiñci aḍayhatha.” ”五番目。 ある町全体が火事になったとしても、 沙門には、家無く、財もない為、 何かを焼いて(失うものが)ない。 故に、家無し、財無しの沙門…

Parashraama様のコメントへのお返事

本日、私のブログ『覚知、念と定』(翻訳文)を読まれました Parashraama様 より、以下の様なご指摘がありました。 【文中に出てくる <ekaggata>は <一境性>と訳されていますが、gata は、行く、などの意味が含まれますので、云々。】(全文は、該当する…

★『教海覚舟』<教えの海悟りの舟>(7-23)(私家版)

”Catutthampi ghadramadhanassa、 anāgārassa bhikkhuno; Nagaramhi ḍayhamānamhi、 nāssa kiñci aḍayhatha.” ”四番目、沙門は、野山を遊行し、 在家者をば、我が親族、我が施主として、 執着することがない為、束縛がない。 故に、家無く、財の無い沙門は…

★『教海覚舟』<教えの海悟りの舟>(7-22)(私家版)

”Tatiyampi bhadramadhanassa、 anāgārassa bhikkhuno; Nibbuto piṇdo bhottabbo、 na ca kocūparodhati.” ”三番目、沙門は如理に省思し、 如法に得た食を受用する事によって、 煩悩の雑染を防ぐ。 沙門に煩悩は無く、 沙門に、家無く、財無く、 たとえ、…

★『教海覚舟』<教えの海悟りの舟>(7-21)(私家版)

”Dutiyampi bhadramadhanassa、 anāgārassa bhikkhuno; Anavajjapiṇḍo bhottabbo、 na ca kocūparodhati.” ”次に、沙門は、 病気の治療、星占いに 参与しない。 方術を売り物にしたり、 運勢占いによって、 供養を得る事をしない。 ただ、如法に得た食を、…

★『教海覚舟』<教えの海悟りの舟>(7-20)(私家版)

その後、国王は、パーチェカ仏に、どの様に生活しているのか? と聞いた。 パーチェカ仏は、以下の様な偈頌を詠んで、出家の楽を描写した: ”Sadāpi bhadramadhanassa、 anāgārassa bhikkhuno; Na tesaṃ koṭṭhe openti、 na kunmbhiṃ na khaḷopiyaṃ; Paran…

★『教海覚舟』<教えの海悟りの舟>(7-19)(私家版)

”Na rāja kapaṇo hoti、 dhammaṃ kāyena phassayaṃ. Yo ca dhammaṃ niraṃkatvā、 adhammamanuvattati; Sa rāja kapaṇo hoti、 pāpo pāpaparāyaṇo.” ”大王! 聖道を修行して、出世間法を証悟した人は、貧困ではない;法を拒絶して、罪人の様に生活する人、…

翻訳(中→日)《実用アビダンマ》(3-140)(私家版)

もし、(あなたが)すでに、聖果を証得して、ソータパナになっているのであれば、無色界に生まれても、良い。 というのも、ソータパナ、サカダーガーミ、アナーガーミ及び阿羅漢の修行方法は、みな同じである。 それはすなわち、名色の無常・苦・無我を観ず…

翻訳(中→日)《実用アビダンマ》(3-139)(私家版)

仏陀が道を証した後、彼の二人の教師UddakaとAlaraに報恩したいと思い、神通を利用して、彼らの所在地を探した。 その結果、彼らはすでに往生して、前者は、無所有処に、後者は非想非非想処に、生まれ変わっている事が分かった。 仏陀は言う: 「非常に惜し…

翻訳(中→日)《実用アビダンマ》(3-138)(私家版)

正等正覚仏陀とチェーパカ仏(辟支仏)は同じではない。 正等正覚仏陀は、必ず、己自身の智慧と精進でもって、仏果を証得しなければならないし、また、同時に、衆生に対して、己自身が証道した所の、四聖諦を説明できなければならない。 チェーパカ仏もまた…

翻訳(中→日)《実用アビダンマ》(3-137)(私家版)

ゴータマ仏陀は以下の様に言う: 世間には、二種類の、めったに出会う事のできない人がいる。 一番目は、恩義を知る人。 二番目は、衆生の幸福の為に活動する人。 仏陀自身は、衆生の幸福の為に出現したものである。 仏陀が成道した後、彼が感謝しなければな…

翻訳(中→日)《実用アビダンマ》(3-136)(私家版)

耳根があって初めて、仏法を聞く事ができる。 ソータパナを証悟するためには、四つの条件がある。 その内の一つは、仏法を聞く事、である。 仏法を聞かずして、どの様にして、名色の無常・苦・無我を観ずることができるのか? 故に、必ず、先に、仏法を聞か…

翻訳(中→日)《実用アビダンマ》(3-135)(私家版)

無色界において生まれると、非常に長寿となる、また身体もない。 身体がない、という事は、痛苦がない、という事であり、しかし、また、身体的な楽を享受する事ができない、という事でもある。 もし、あなたが、欲楽を追求する人間であるとするならば、居心…

般若の独り言~成人の日によせて

今日は成人の日、三連休ですね(年金生活の私には、祝祭日は関係ありませんが~笑)。 私が20歳の時は、東京の通信社に勤めていまして、いまだ、己自身の立ち位置が分からず、まだまだ心の中は、不安で一杯でした。 私は、子供の時から仏教が好きで、5歳の時…

翻訳(中→日)《実用アビダンマ》(3-134)(私家版)

識無辺処果報心は、識無辺処地に出生して、梵天神の結生心となるものであって、それは、識無辺処善心から生じる。 もし、一人の人間が、かつて、識無辺処禅心を証得したことがあっても、しかし、臨終のときにジャーナを失うのであれば、識無辺処地に生まれる…